開業費を繰延資産で節税!4つのポイントやり方解説

開業費の繰延資産タイトル

「開業費を繰延資産にするとはどういうこと?そもそも繰延資産って何?」こんな疑問を抱えていませんか?

この記事では、開業費が繰延資産になる条件と、必要な記載方法について解説します。

読み終える頃には、繰延資産を活用して賢く節税する方法をマスターしていきましょう!

目次

開業費は繰延資産で償却できる

開業費を繰延資産として償却することで税金対策になるといっても、そもそも繰延資産が何のことかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まずは、繰延資産についての解説から始めます。

繰延資産は支出効果が1年以上の資産

これが繰延資産です。

開業費に当てはめて考えてみると、企業や個人事業主が出した支出のうち効果が1年を超えて来期以降にも及ぶ費用のことをいいます。

開業前に購入した必要費用は、開業以降も影響を及ぼすので繰延資産として扱うことが可能ということです。

さらに、毎年経費として計上可能なので節税効果になるというメリットも持っています。

貸借対照表では「資産」に分類

経理上の分類において、繰延資産は資産の部に記載されます。

貸借対照表では流動資産と固定資産の二つがありますが、繰延資産はどちらにも該当しないので仕訳をする際にはその下に記載してください。

貸借対照表に資産として計上後は、数年をかけて償却、費用化することが可能です。

開業費の対象範囲

ひと口に開業費といっても、開業前にかかった費用であればすべて対象となるわけではありません。

その範囲にも限りがあるのでそちらも頭に入れておきましょう。

一般的に開業費として認められているのは下記のような費用です。

  • 開業に必要なセミナーの参加費
  • 市場調査代
  • PC購入費などの設備投資費用
  • 通信費
  • 打ち合わせ費用

反対に、開業費として認められていないものはこちらです。

  • 10万円を超える設備
  • 事務所の家賃・敷金・礼金
  • 仕入代金

10万円を超える設備は固定資産、仕入代金は売上原価と分類されるので開業費としては認められていません。

敷金は返却される金額なので経費としては認められず、礼金は支払手数料や長期前払費用となります。

また、法人における開業費は開業準備のために特別に支出する費用という位置づけのため、その後も経常的に発生する家賃も開業費として計上はできません。

繰延資産の仕訳に使う勘定項目の記載例

続いては、繰延資産の仕訳方法について解説していきます。

貸借対照表と損益計算書それぞれで解説しますので参考にしてみてください。

貸借対照表での勘定科目

貸借対照表では繰延資産という勘定科目として、創立費・開業費・開発費・株式交付費・社債発行費といった名前で入力されます。

そのため、下記のように記載をするといいでしょう。

繰越資産
創立費200,000円
開発費300,000円
株式交付費100,000円
社債発行費100,000円
繰延資産合計700,000円

損益計算書での勘定科目

一方で、損益計算書では開業費償却費繰延資産償却という勘定科目となり、販管費や営業外利益として計上されます。

【販売費および一般管理費例】

販売費および一般管理費
給与1,000,000円
開業費償却費300,000円
販売費及び一般管理費合計1,300,000円

【営業外費用例】

営業外費用
支払利息200,000円
繰越資産償却費500,000円
営業外費用700,000円

いずれも、上記のように記載しておくといいでしょう。

繰延資産の償却方法は2種類

また、繰延資産には均等償却と任意償却の2種類の償却方法があります。

それぞれの違いについても認識しておきましょう。

均等償却する場合の計算式

均等償却とは、繰延資産を毎回決まった額だけ償却する方式です。

例えば、繰延資産が10万円あり、5年で償却する時は毎年2万円の償却をしなければなりません。

このように、定められた償却期間で均等に費用を配分していく必要があるのが均等償却です。

任意償却(一時償却)の場合

極端にいえば、最初の期ですべて償却しても良く、反対に償却が0円という期があっても問題ありません。

収入が少ない期は償却を少なくして、多い期は償却を増やして節税行うことが可能です。

そのため、任意償却を選択することをおすすめします。

開業資金を繰延資産で節税する方法

任意償却という方法を採用することで、節税になると解説しました。

続いては、その効果を最大限活用した節税方法についてフォーカスしていきます。

具体的にどのようなことをしたら良いのか何に注意すべきなのかという点について紹介しますので、こちらも参考にしてみてください。

開業する前の半年前から1年前までOK

繰延資産として償却できる開業費。

開業前にかかった費用を含むことができるとはいえ、期間は無制限というわけではありません。

一般的にさかのぼれる期間は半年前から1年前程度といわれており、これを超えると税務署からも怪しまれてしまう可能性があります。

しかし、開業準備を年単位で行っているという方もいらっしゃるでしょう。

数年前の開業費が全く認められないということではないので、その場合は根拠を明確に説明することが重要です。

レシート・領収書を保管

開業費の根拠として不可欠なのが、レシートや領収書です。

数年前から準備していたことの根拠になるだけではなく、直近でかかった費用を開業費として証明するためにもきちんと保管しておいてください。

交通費や割り勘にした食事代、慶弔費用を開業費としたい場合は、出金伝票を記載しておけば領収書代わりになります。

償却時は繰延資産として計上してから数年後ということもあるので、領収書は日付ごとにするなどいつ見返しても分かりやすいようにしておきましょう。

仕訳帳と減価償却資産台帳に記帳

また、開業費の仕訳帳への記入方法についても解説します。

開業費が10万円を超える場合は、仕訳帳に開業費は資産科目へ、開業償却費は経費科目として記入しましょう。

さらに開業費は繰延資産となり、取得・減価償却・売却・除去といった流れを減価償却資産台帳にも記入しなければなりません。

仕訳帳と減価償却資産台帳は両方書くことを癖づけるようにしておくようにしましょう。

一方で、開業費が10万円未満であれば仕訳帳のみの記入で問題ありません。

任意償却は自由に設定可能

先述した通り、開業費は任意償却に設定すれば毎年の償却額をいくらにしても問題はありません。

黒字になって収入が上がった年に多く償却して赤字になった時は償却をなしにすることで、より多くの節税効果をもたらしてくれるでしょう。

また、期間についても均等償却では5年と定められているものの、それ以上経過してはならないという明確な決まりもありません。

非常に柔軟な制度なので、ご自身の意向や経営スケジュールなどに合わせた活用をおすすめします。

まとめ

開業前の準備を入念に行うことは、余裕を持って事業を始めるためにも重要な要素です。

しかしそれだけではなく、準備にかかった費用を開業費として計上すれば後々の節税にも役立つこともあります。

そのためのポイントはこちらです。

  • 開業前に支払った費用はなるべく領収書や明細書を残し、ないものは出金伝票に記入する
  • 償却方法を任意償却にして、毎年自由に経費計上できるようにする
  • 収入が多い年に償却額を増やして、税金の支払いをなるべく少なくする

これらのポイントを意識して、開業費を最大限活用してみてください。

開業費をはじめとして、創業についてのお悩みがある方はCEOパートナーまでご相談してみるのはいかがでしょうか。

お悩みや疑問点を解決してくれるほか、申請書類作成のアドバイスも行うので創業を目指す方の強いパートナーになってくれるはずですよ。

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この記事を書いた人

起業とお金の専門ライター。2022年に個人事業主として起業。起業家仲間と月1の飲み会でビジネスの情報収集・発信。趣味は読書とパラグライダー。起業したい人に向けて有益な記事を執筆しています。

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