小さく事業を初めて軌道に乗ったら法人化しよう!と思ってもいざ事業を始めてみると、どのタイミングで法人化すればいいの?となってしまいますよね。
せっかく軌道に乗ったのに法人化して悪くなったらどうしよう・・・
そんな風に考えてなかなか踏み切れないなんてこともあるかと思います。
さて本記事では個人事業主として起業して、法人化するタイミングについて悩んでいる方に向けて3つのベストなタイミングについてご紹介していきます。
法人化することにどんなメリットデメリットがあるのかもご紹介するので悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
関連記事:起業はタイミングが重要!成功率を飛躍させる7つのタイミングを紹介
個人事業主が法人化する3つのタイミング
個人事業主として起業した場合、どのタイミングで法人化して会社を設立するといいのでしょうか。
本章では法人化する3つのタイミングについてご紹介していきます。
関連記事:【比べてみた】会社設立と個人事業主のメリットデメリット
所得が500万円を超える時
個人事業主と法人では所得によって発生する税金が異なります。
参考資料:国税庁(所得税の税率)
国税庁によると上記の図のように所得が増えれば増える程所得税も増えていきます。
しかし法人税は違います。
参考資料:国税庁(法人税の税率)
法人は所得が800万円を超えても税率が最大約23%となっていて、そこから上がることはありません。
個人事業主は最小で5%程ですが最大で45%の税率が発生します。
所得が800万円を超えるようであれば法人化した方が節税に繋がるのです。
また、法人は個人事業主よりも経費にできる範囲が広いです。
健康診断や福利厚生費、社員旅行なども経費にできますし、給与も経費にすることが可能です。
なので経費のことなどを考えると大体500万円を超えると法人化した方が節税できる可能性があるのでそこを目安として法人化を検討しましょう。
事業売上高が1000万円を超えた時
事業売上高が1000万円を超えた場合も法人化を検討した方がいいです。
消費税の納税義務は課税売上高が1000万円超えた場合に発生します。この消費税の納税義務には個人事業主も法人も関係ありません。
個人事業主として事業売上高が1000万円を超えた後、法人化することで2年間の消費税の納税が免除されます。
消費税の納税義務は基準期間における課税売上高は原則、前々事業年度の課税売上高となります。
つまり個人事業主から法人化した際、2年間の法人としての課税売上高は存在されない仕組みとなります。
納税義務は免れませんが2年間の免除は大幅な節税に繋がるので法人化のタイミングとしては適したタイミングになります。
事業の拡大を考えている時
事業の拡大は法人化する絶好のタイミングです。
本記事を読まれている方の中にも事業の拡大を考えている方はいらっしゃると思いますがそれを考えている時こそ法人化を検討するタイミングなのです。
事業の拡大には主に資金と人材が必要になります。
法人化は手間のかかる手続きを経て会社を設立できるので社会的信頼が高まります。
それによって融資が降りやすくなったり、人材が集まりやすくなったりします。
また、社会的信頼が高いことで取引のしやすさにも影響が出ます。
事業拡大したいのであれば法人化を検討しましょう。
会社設立して得られるメリットデメリット
では会社を設立することでどんなことが得られるのでしょうか。
本章では会社設立して得られるメリットとデメリットについてご紹介していきます。
関連記事:会社設立経験者が教える!サラリーマンが会社設立する5つのメリット
メリット① 節税が可能
タイミングでもお話したように会社を設立することで節税が可能です。
有名人が自身の会社を設立する理由にこの節税が関係しています。
例えば10億円の所得があったとします。所得は額によって税率が変わるので10億円の所得だと45%、約4億7千万円の税金を納める必要があります。
頑張って稼いだお金の半分が税金としてなくなってしまうのです。
しかし、会社を設立することで大きく変わってきます。
会社設立をして自身を役員とすると役員報酬を受けることが可能です。役員報酬は給与でりありながら会社の経費としてみなされるので「役員報酬を受け取る=会社が経費で支払った」ということになります。
この役員報酬と給与所得控除を活用すれば大幅な節税ができます。
そこに親族社員として雇用することでさらに節税が可能です。
先程同様10億円の所得だとすると最大で約3億円ほどの節税ができるので手元には7億円ほど残る計算になります。
このように所得が多い人からしたら会社設立はメリットでしかありません。
メリット② 社会的信頼が得られる
こちらもタイミングでお話ししましたが会社設立には手間のかかる手続きが必要です。
その手続きをしないと会社は設立できません。
しかし、その手間のかかる手続きをすることで社会的信頼を得ることができます。
社会的信頼があると融資が降りやすくなります。
また、従業員の募集を出したときに個人事業主と会社では集まる人数も違ってきます。
信頼が高いところで働くのと、信頼の低いところで働くのとでは圧倒的に前者を選ぶ人が多いはずです。
取引もそうです。大きな企業だと個人事業主に対しては消極的で用心深いです。
しかし対会社だと最初からある程度の信頼があるので話を聞いてもらえる確率も高くなってきます。
事業拡大を目指すのであれば会社設立はその目標への一歩だと言えます。
デメリット① 事務的な負担の増加
メリットがあるならデメリットがあるのも事実です。
個人事業主とは違って経費にできる範囲が広いのでその分書類が増します。
また、決算報告書などの作成も必須です。
そしてこういった書類は疎かにすることで信用問題にも関わってきます。せっかくのメリットを自ら手でデメリットにしてしまう可能性もあるのです。
個人事業主だと厳格でなくてもよかった書類が会社設立することで厳格に緻密に作成することが求められます。
信用問題に関わるとお話ししましたが、物によっては法的な問題にも関わってきます。
この事務的な負担の増加から自身の仕事が捗らず効率が下がってしまうこともあります。
解決策としては税理士などの専門家と契約することです。
税務関係の書類を税理士に任せることで自身の仕事に集中することが可能です。
その他にもお金に関することなら税理士に任せれば解決することができます。
早い内から税理士と繋がっておきましょう。
デメリット② 赤字でも発生する納税の義務
個人事業主なら赤字が出た場合には所得税と住民税は0円となりますが、会社設立した場合はそうもいきません。
会社設立した場合はどれだけ赤字が出ても法人住民税の一部が資本金額に応じて課税される仕組みになっているため納税義務が発生します。
東京都の場合は資本金1000万円以下、従業員50人以下だと毎年7万円の支払い義務が発生します。
廃業手続きをし、改めて開業届を提出すれば個人事業主になることも可能です。
赤字になってしまった場合、個人事業主になれば納税義務がなくなると思いますが、社会的信頼に関わるのであまりおすすめはしません。
会社設立の5つのステップ
次に会社設立の5つのステップをご紹介します。
前述の通り会社を設立することで社会的信頼を得ることができます。
しかし会社設立には手間のかかる手続きをする必要があります。
まずはどんな手続きをするのか把握することから始めましょう。
STEP1 基本事項の決定
まず初めにすることは基本事項の決定です。この基本事項を決めないと手続きが何も始まりません。基本事項は以下の通りです。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立日
- 資本金
- 発起人(出資者)
- 各発起人の出資額
- 印鑑(代表印、銀行印、角印の実印)
- 役員の構成とその報酬額
この基本事項はこの後作成する定款に関わりますので必ず決定させましょう。
株式会社を設立する場合はここに「発行可能株式総数」、「設立時に際して発行する株式の枚数」、「株式譲渡制限の有無」、「公告の方法」が加わります。
自身の設立したい会社形態を確認してください。
関連記事:専門家に任せれば会社設立は簡単に!5分でわかる会社設立の全て
STEP2 定款の作成・認証
定款(ていかん)とは「会社の憲法」とも呼ばれる会社設立にはなくてはならないものです。
STEP1で決めた基本事項をまとめ、その他社内でのルールなどをまとめたものになります。
会社設立には欠かせないものになり、株式会社を設立するなら公証人から認証を受けなければいけません。
手続きの中でも最も時間がかかる作業なので時間に余裕を持って作成する必要があります。
定款には1つでも抜けていたらその時点で定款が無効となってしまう「絶対的記載事項」、その絶対的記載事項を補う「相対的記載事項」、その他法律に違反しない限り自由に規定できる「任意的記載事項」の3つからなっています。
相対的記載事項の中で会社の財産に大きく影響する重要なものを「変態設立事項」と呼びます。
具体的な項目は以下の表にまとめていますので参考にしてください。
参考資料:J-Net21
STEP3 資本金を払い込む
資本金の払い込みは定款が完成し、認証を経てからになります。
法人口座は会社設立後に開設できるのでこの時点ではまだ開設ができません。
なので振込先は発起人の個人口座になります。
2006年に会社法が改正されて資本金が1円でも会社設立が可能となりました。
資本金とは会社設立において会社の大きさを対外的に表すもので、事業を行うための元手となる資金です。
その資本金は登記にも記載されるのであまりにも少ないと小さい会社だと下に見られたり、社会的信頼を得ることが難しくなってしまいます。
資本金が1円でも会社設立が可能となり、会社設立のハードルは下がりました。しかし、後々のことを考えるのであれば100万円~1000万円の資本金は用意した方がいいでしょう。
払い込みが完了したら通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページのコピーをします。これは資本金の証明する書類となって、後日登記申請をする際に必要になるので必ず保管しておいてください。
関連記事:会社設立の資本金と資本準備金の違いを大公開!資本準備金のメリット
STEP4 登記申請の書類作成・申請
会社設立には登記の申請が必要になります。
会社の形態によって用意する書類が異なりますが株式会社の場合は以下の通りになります。
- 登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙
- 定款
- 発起人決定書
- 設立時の代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 発起人の印鑑証明書
- 資本金の払い込みを証明書する書類
- 印鑑証明書
- 「登記するべき事項」を記載した書面またはCD-R
書類作成が完了したら法務局に行き、申請を行います。
登記申請は資本金の払い込みから2週間以内に行ってください。
書類に不備がなければ大体10日間ほどで登記登録となり、会社設立が完了となります。
この登記申請の記載事項は商業登記法によって定められています。
法令に従って作成していなければ勿論認められないので注意しましょう。
STEP5 登記登録後の届出作成・提出
登記が登録できたら会社設立が完了となりますがそれで終わりというわけではありません。
会社設立後にも出さなければいけない届出が存在します。
これらの届出には各々期限が決まっています。
例えば法人設立届出書は会社設立後2ヵ月以内に設立した会社の本店所在地がある地域の管轄税務署に提出する必要があります。
これらの届出を提出しないだけで本来であれば税務署から送付されてくる書類(法人税や消費税等の税金に関する書類)が送られてこず、申告漏れにつながる可能性があります。
それだけでなく本来貰えるはずの恩恵を貰えなくなってしまうなど経営者としてはデメリットしかありません。
なので必ず期限内に提出しましょう。
関連記事:会社設立はゴールじゃない!その後にやるべき7つのことを徹底解説
会社設立をするタイミングを間違えたNさんの末路
会社設立はタイミングが大事になります。そのタイミングを間違えてしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
Nさんは元々普通のサラリーマンでしたが、会社勤めが嫌になり起業を決意しました。
見切り発車ではあったものの、個人事業主は開業届を提出するだけだったので簡単に開業することができました。
さてそんなNさんは思い切って法人化することを決意したのですがそのタイミングを間違えてしまいます。
会社設立をするタイミングを間違えてしまったNさんはどうなってしまったのか。Nさんの実例を基にお話ししていきたいと思います。
登記に手間取り仕事が疎かに
1度開業の手続きをしているので会社設立の手続きも簡単に終わると考えていたNさん。
しかし実際にやってみるとそれは難しく簡単にできるというものではありませんでした。
専門家に相談すればよかったものの、可能な限りお金をかけずに設立したかったので全て1人でやることにしました。
ただ、簡単にできると思っていたので時期を考えておらず忙しい繫忙期と会社設立の手続きがかぶってしまったことで本来の仕事が疎かになってしまいました。
その結果、顧客からよく思われずいくつかの契約が打ち切りとなってしまいました。
事務仕事が増えて従業員を増やすも仕事が無く赤字に
会社設立を決意した背景として新規顧客の確保と節税がありました。
会社さえ設立できれば新規顧客が確保できると考えていたため、契約の打ち切りに関してあまり深く考えていませんでした。
そうして何とか会社設立ができてこれからだという時に事務仕事の多さに驚きました。
設立に関する手続きを1人でやって少し後悔していたNさんは従業員を増やして自身は仕事に集中することにしました。
しかし、従来の顧客に契約を打ち切られたことで悪評が立ってしまいなかなか仕事が入ってこず、ただただ人件費が嵩む日々でした。
ついには赤字となってしまい、個人事業主とは違って法人は赤字でも納税義務があることを初めて知って頭を抱えました。
関連記事:【起業1年目のトリセツ】赤字を出さない4つの方法
立て直しを試みて融資を申し込んだが審査に通らず
せっかく立ち上げた会社をここで終わらせたくないNさんは立ち直すことを決意しました。
会社を運営するためにも資金が必要だと考え融資を受けることにしました。
Nさんは会社設立することで金融機関からの融資が受けやすくなると聞いていたこともあり融資を考えたのです。
融資は難しいと聞いてはいましたが会社設立して社会的信頼があるから大丈夫だろうと誰かに頼ることもなく審査に挑んだのですが残念な結果となってしまいました。
確かに会社設立をすれば社会的信頼が得られます。
その結果、融資が受けやすくなったり取引がしやすくなったりするのも事実です。
しかしNさんの場合は設立して1年で赤字になってしまったことや、融資の審査に必要な書類などを見よう見まねで作成した結果、穴だらけの書類となってしまい、将来性が見えないとされてしまいました。
その後も資金繰りに奮闘しましたが、思うように上手くいきませんでした。
関連記事:本当にあった会社設立詐欺に迫る!肩書だけの社長にはリスクしかない
会社は倒産し残ったのは多額の借金のみ
立て直しに奮闘していましたが会社を設立して1年も経たずに倒産という結果になってしまいました。
Nさんは会社の立て直し時に高利なお金を借りてしまったので多額の借金を背負うことになりました。
それだけではありません。
資金繰りに奮闘していて社内の管理ができてなく、その結果雇っていた従業員が取引先に対して損害を与えてしまっていたことが発覚しました。
幸いにも古くからの付き合いだったので大事にはならずに済みましたが、取引先で発生した損害は経営者であったNさんが責任を負う必要があります。
結果としてNさんには立て直しのために借りたお金や、取引先との損害賠償といった負債だけが残りました。
関連記事:生存率81%!5社に1社が起業5年後に倒産…生き残る為の3つの術!
まとめ
会社の設立にはタイミングが大事です。
そのタイミングを間違えてしまうとNさんのような結果になってしまう可能性があります。
個人事業主から法人化して会社を設立する場合しっかりとタイミングを見極めることが大切です。
また、全てを1人でこなすのも1つの手ですが作業の効率化を図るためにも頼れるところは専門家を頼りましょう。
私個人の話だとお金に関することは1番重要だと考えているので、その重要なことは専門家である税理士にお任せしていました。
融資の相談や節税の相談ができて税務関係の書類も代行してくれたので私は仕事に集中することができました。
CEOパートナーは融資に強い税理士とマッチングしてくれます。
本当にこのタイミングで法人化して間違いないのか、といったお悩みにも税理士であれば事業の経営状況から見てアドバイスをくれます。
融資を検討していたり、会社設立のタイミングや資金繰りにお困りならCEOパートナーにお任せください。
自身に適したタイミングを掴み取って会社設立を成功させましょう!
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