助成金や補助金には、インボイス制度を適用させた事業者にかかる負担を少しでも軽減させるために、新たに制度を追加したものが存在します!
インボイス対応を行なう事業者の方は、ぜひ一度助成金や補助金の利用を検討されることをおすすめします。
助成金・補助金には返済義務がないため、インボイスの影響で増加した負担を補う策として非常に効果的なのです。
ここではインボイス対応している5つの助成金・補助金をご紹介するとともに、申請時のポイントや、助成金・補助金以外で頼れる制度をご紹介していきます。
2023年10月から始まったインボイスの新制度に不安を抱く事業者の方は、少しでも負担を減らす策が見つかるはずですのでぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
助成金・補助金でインボイス対応している5制度
ではさっそく、助成金や補助金でインボイス対応をしている制度について解説します。
キャリアアップ助成金
有期雇用労働者、短期労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進させた場合に支給される助成金です。
非正規雇用労働者が正社員になったり処遇改善されたりした際に有効になります。
インボイス枠など直接的な制度があるわけではありませんが、活用することでインボイスの影響で増加した負担も減らせるでしょう。
IT導入補助金
インボイス制度に対応する受発注システムをはじめとしたITツールを、事業で導入しようとする企業に支給される補助金です。
下記5つの枠の中から目的に合致したものに申請できます。
目的 | |
通常枠 | ITツールを導入し、業務効率化・売上アップをしたい |
インボイス枠 | インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入したい |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応した受発注システムを導入したい |
セキュリティ対策推進枠 | サイバー攻撃の増加に伴う潜在的なリスクに対処できるシステムを導入したい |
複数社連携IT導入枠 | 業務上つながりのある「サプライチェーン」や、特定の商圏で事業を営む「商業集積地」に属する複数の中小企業・小規模事業者で連携してITツールを導入したい |
IT導入補助金にはインボイス枠が2つ用意されていますので、該当するものを活用しましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援するための補助金です。
これまで免税事業者だった場合でも、インボイス発行事業者に登録して課税事業者となると補助上限が一律50万円上乗せされます。
類型 | 通常枠 | 賃金引上げ枠※ | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 |
補助率 | 2/3 | 2/3(赤字事業者は 3/4) | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
インボイス特例 | 補助上限50万円上乗せ ※2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者及び2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に限る |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
相次ぐ制度変更に対応するための設備投資を行なう中小企業・小規模事業者を支援する補助金です。
通称「ものづくり補助金」といわれています。
なかには、インボイス制度への対応に必要な設備投資の支援を受けられる項目もあります。
■ものづくり補助金の補助上限額
従業員数 | 補助上限額 |
5人以下 | 750万円 |
6~20人 | 1,000万円 |
21人以上 | 1,250万円 |
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継をきっかけに新しい取り組みや事業再編、事業承継などを行なう中小企業を支援する制度です。
インボイス制度導入によって休業や廃業に追い込まれた企業は、補助金を受けられる可能性があります。
■対象となる中小企業の定義
業種分類 | 定 義 |
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
インボイス対応の助成金・補助金を活用すべき理由
助成金・補助金のなかでも、インボイスに対応しているものは積極的に活用しましょう。
その理由がこちらです。
ITツールの導入や経理負担を減らすため
インボイス制度を導入すると、適格請求書に合わせたITツールが必要になります。
また、適格請求書の発行や仕分けなど経理面での負担も増加するでしょう。
業務効率化を図るために人件費も増えてしまいます。
そういった負担を減らすためにも補助金の活用が有効といえるのです。
負担対策による事業転換の可能性があるため
インボイス制度による消費財やコストの増加から、大幅な事業転換を余儀なくされる事業者もいるでしょう。
事業縮小や廃業に追い込まれる可能性もあります。
さまざまなリスクを回避するためにも、補助金を活用して資金を補填するとよいでしょう。
通常より有利な条件で制度を利用できるため
小規模事業者持続化補助金のインボイス特例は、免税事業者から課税事業者に転換するだけで、補助上限が50万円上乗せされます。
このように、場合によっては有利な条件で各制度を利用できるというケースもあるでしょう。
コストが増えるというピンチを、補助金によってチャンスに変えられるかもしれません。
インボイス対応の助成金・補助金申請時のポイント
助成金や補助金を申請する際には、いくつかの注意点があります。
申請を検討されている方は下記4つのポイントをご参照ください。
受給対象や条件、公募期間を確認する
すべての助成金や補助金には、受給対象や条件、公募期間が設定されています。
その条件を満たさなければ、受給はされないので注意しましょう。
実施されるたびに変更している場合もあるため、常に最新の情報かどうかチェックしてください。
余裕を持って準備期間を設ける
お伝えした通り、助成金・補助金には公募期間が設けられています。
期間から逆算して余裕をもって準備をしましょう。
書類作成や申請に数日を要してしまうこともあるため、期限ぎりぎりになって対応するのはNGです。
事前の資金調達手段を別で検討する
助成金や補助金の特徴として、実際に資金を得られるまで時間がかかるという点が挙げられます。
申請が通っても、受給するまで事業を実施しなければなりません。
融資や自己資金、他人から借りるなどで、その間の資金は必ず確保しておきましょう。
課税対象となるため決算時の工夫が必要
助成金も補助金も収入とみなされるので、課税対象になります。
法人なら法人税に、個人事業主なら所得税や住民税として仕分けが必要です。
決算時には課税が増えてしまう恐れがあるため、圧縮記帳を使用し、税負担を先延ばしにすることをおすすめします。
繰り延べすることで単年の税負担が軽くなるので、助成金・補助金の効果も上げられるでしょう。
助成金・補助金以外のインボイス支援制度
助成金や補助金以外にも、さまざまな支援制度が設けられています。
ぜひこちらもご活用ください。
導入から6年間の経過措置
インボイス制度導入から6年間は、仕入税額控除の段階的な経過措置が設けられています。
その期間と割合がこちらです。
期間 | 割合 |
2023年10月1日~2026年9月30日 | 仕入税額相当額の80% |
2026年10月1日~2029年9月30日 | 仕入税額相当額の50% |
2026年9月までは2割特例
課税される消費税を「売上税額×20%」まで軽減する2割特例も適用できます。
対象となるのは、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になる小規模事業者です。
確定申告書に「2割特例の適用を受ける旨」を付記するだけなので、特別な申請などは必要ありません。
適用期間は2026年9月30日までです。
簡易課税制度が選択可能
売上で預かった消費税額に「みなし仕入れ率」をかけたものを「支払いにかかった消費税」とみなす計算方法が簡易課税制度です。
個人事業主の場合は2年前、法人の場合は2事業前の売上が5,000万円以下の場合に選択できます。
計算がシンプルなので、会計処理が簡単に行なえるという点が最大のメリットでしょう。
少額取引なら適格請求書の保存免除
課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存が必須です。
しかし、1万円未満の少額取引の場合は帳簿の保存のみで問題ありません。
こちらも期間が設けられており、2029年9月30日までとなっています。
少額な適格返還請求書の交付免除
返品や値引きなど売上の返還があった場合、通常であれば適格変換請求書を交付する必要があります。
ただし、値引きや返品額が1万円未満の場合は、その交付は不要という制度です。
こちらに関しては、期限はありません。
資金調達や税対策はCEOパートナーにお任せ
インボイス制度によってさまざまな制度が複雑化されています。
どのように資金調達をしたらよいのか、税対策の方法が分からないという方は、CEOパートナーに相談してみてはいかがでしょうか。
専門スキルに秀でた税理士が在籍
CEOパートナーでは、ご相談をいただいてから24時間後には最適な税理士を紹介するというサービスを行なっています。
紹介する税理士は、資金調達や創業に詳しいエキスパートばかりです。
毎月1,000件以上の相談件数を誇っており、創業に関連する相談数はなんと、全国No.1となっています。
実績を活かして、どんなお悩みにも的確に回答してくれるでしょう。
資金調達や税務のサポートが得意
ひと口に資金調達といっても、融資や助成金・補助金などいくつもあります。
その中から最適な方法を提案してくれるのもCEOパートナーの税理士です。
また、当然税務サポートも得意としているので、節税対策についての質問もいつでもしてください。
インボイスの不明点も質問し放題
インボイスについても、税務面に関わることなので対応可能です。
自分で調べてみても専門用語が多く分かりづらいことも多いでしょう。
もしかすると、間違った認識のまま事業を進めることになるかもしれません。
インボイス制度を正しく理解するためにも、困ったことがあればいつでもご相談ください。
まとめ
2023年に導入されたインボイス制度は、個人事業主や小規模事業者にとっては向かい風になっていると言わざるを得ません。
税制面でも作業面でも負担が大きく、以前のように事業が行なえないという方も多いでしょう。
そんな時こそ、CEOパートナーがあなたの味方になってくれます。
税務や資金調達だけでなく、事業運営に関するお悩みも随時受け付けています。
小さなことでも相談すると、新しい道が開けるかもしれませんよ。
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