2社間ファクタリングとはファクタリングの仕組みの一つで、自社とファクタリング会社の2社が契約し取引を行ないます。
対して3社間ファクタリングがありますので、その違いについて詳しく比較していきます。
また2社間ファクタリングを利用することのメリットやデメリット、さらによくある質問をまとめてご紹介。
2社間ファクタリングを詳しく理解したい方はぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
特に資金調達に急いでいる方には必要な情報となるはずですよ。
2社間ファクタリングとは?
2社間ファクタリングとはなんなのか。
まずはその概要について解説していきます。
自社とファクタリング会社の2社間で取引すること
そもそもファクタリングとは、保有している売掛債権をファクタリング会社に売却して早期現金化することをいいます。
2社間ファクタリングとは、そのうちの仕組みの一つ。
売掛先を含めずに、自社とファクタリング会社のみで取り引きすることです。
現金化した後も、ファクタリングをしたことは売掛先に知られることはありません。
【図解】2社間ファクタリングの仕組み
こちらでは、2社間ファクタリングについて図を使用して解説します。
自社と売掛先の間で売掛金が発生する
自社がファクタリング会社へ売掛債権を売却する
ファクタリング会社から売却代金が支払われる
売掛先から自社へ売掛金の支払いが行なわれる
自社は回収した売掛金をファクタリング会社へ支払う
基本的には以上の仕組みで2社間ファクタリングが行なわれます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
では、3社間ファクタリングとはどのような点が異なるのでしょうか。
契約や取引に関わる社数が違う
2社間ファクタリングで関わるのは、利用者とファクタリング会社のみです。
契約も取引もこの2社で行ないます。
一方の3社間ファクタリングは、2社プラス売掛先企業も契約に入るという点が特徴です。
手数料の相場が違う
ファクタリングを行なう際は、ファクタリング会社に売掛金額に準じた手数料を支払います。
2社間ファクタリングの場合は、回収できないリスクを鑑みて10~20%程度の手数料が相場です。
一方、3社間ファクタリングは売掛先企業も関わるので低リスクで取引できます。
そのため、1〜9%程度の相場で取り引きされることが多いです。
審査の通りやすさが違う
どちらの方法も、メインの審査は売掛先企業を対象に行なわれます。
ただ、2社間ファクタリングの場合は、売掛先企業とファクタリング会社が契約関係になく取り引きすることもないため利用者の調査も必要です。
よって、3社間ファクタリングの方が審査は通りやすいとされています。
売掛先への通知有無が違う
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社のみで取り引きが行なわれます。
よって、売掛先企業への通知は行なわれません。
しかし、3社間ファクタリングでは売掛先企業にファクタリングを行なっていることを通知する必要があります。
この部分がネックという利用者も多いでしょう。
売掛金回収の流れが違う
ファクタリングを利用した場合の売掛金回収は通常とは異なります。
2社間ファクタリングでは、売掛先企業から利用者に渡り、その後に利用者からファクタリング会社に送金するという流れです。
そのため、売掛先企業にファクタリングを利用している旨が伝わることは少ないでしょう。
ただ、3社間ファクタリングでは売掛先企業も契約に参加しています。
したがって、売掛先企業から直接ファクタリング会社に送金という流れになっているのです。
2社間ファクタリングのメリット
ここからは、2社間ファクタリングのメリットとデメリットについて解説します。
メリットについては、以下の5つが挙げられます。
最短だと即日で資金調達できる
2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の合意のみで進み、さらに煩雑な手続きもほとんどありません。
申し込みから必要書類の提出、書類審査までスムーズに行なうことができれば、最短即日で現金化できます。
スピード感を重視したいという方におすすめです。
売掛先に取引を知られることがない
ファクタリングという手法は、売掛先企業からすると不審に感じたり、資金繰りが悪いのではないかと信頼性の低下につながったりする可能性があります。
本来リスクを伴う制度ではあるものの、2社間ファクタリングであれば売掛先企業に知られずに現金化できるという点がメリットです。
売掛先企業とのその後の取引にも影響が出にくいといえるでしょう。
未回収時のリスクを負わされない
売掛債権を保有している際に、売掛先が倒産してしまったら回収できなくなってしまいます。
ただし、事前にファクタリング会社に売却していれば、債券の保有権は既に自社にはないため、リスクを負わされることはありません。
万が一の未回収リスクがないという点は、ファクタリングの大きなメリットといえるでしょう。
社会的信用が審査に影響しない
ファクタリングを利用する時に行なわれる審査では、利用者ではなく売掛先の信用力が見られます。
そのため、利用者自身に信用力がなくても審査には関係ありません。
なるべく信用力の高い売掛先を選択することでファクタリングも成功しやすくなるでしょう。
借入ではないため負債が増えない
ファクタリングは、元々持っている売掛債権を現金化する仕組みです。
そのため、借入という扱いにはなりません。
決算書上に負債を増やすこともなく、近年増加しているといわれているオフバランス化を図りたい企業にもおすすめです。
2社間ファクタリングのデメリット
続いては、デメリットについての解説です。
主に以下の5つが挙げられるので、利用前に頭に入れておきましょう。
手数料が比較的割高になる
2社間ファクタリングは3社間ファクタリングに比べると、ファクタリング会社に支払う手数料が高く設定されています。
その理由は、2社間ファクタリングでは売掛先を契約に入れていないため、利用者に回収した売掛金を持ち逃げされたり使い込まれたりするリスクがあるからです。
利用する際は、事前に手数料も計算に入れておく必要があります。
審査が比較的厳しめになる
2社間ファクタリングは、ファクタリング会社からすると売掛先企業とやり取りができないため債権回収のリスクが高くなります。
そのため、確実に回収できる先でないと実施してくれません。
売掛先の財務状況や経営状況、過去の取引内容など厳しく審査されるのでご注意ください。
売掛金の入金手間がかかる
売掛先にファクタリングを利用していることを知られない代わりに、利用者が売掛金を回収して、それをファクタリング会社に引き渡す必要があります。
普段の回収よりもひと手間かかる点がデメリットといえるでしょう。
さらに、うっかり忘れて振り込みが遅くなったり使ってしまったりすると損害賠償請求をされる可能性もあるので注意が必要です。
「債権譲渡登記」を求められるかも
債権譲渡登記とは、保有する債権が譲渡されたことを公示する登記制度です。
ファクタリングで取り扱う売掛債権は、保有者が判別しにくいという欠点があります。
誤って複数の会社に売却する二重譲渡が起きる可能性もあり、それを防ぐのがこの登記制度です。
登記しておくことで審査には通りやすくなりますが、手間や登記費用もかかってしまいます。
個人事業主は利用できないことも
ファクタリングは基本的に、個人事業主でも利用できる仕組みとされています。
しかし、債権譲渡登記は法人でなければ取得できない制度のため、取り引き時に登記が必要とされる場合は利用できないでしょう。
個人事業主の方は、債権譲渡登記が不要なファクタリングを利用するのがおすすめです。
2社間ファクタリングのよくある質問
ここからは、2社間ファクタリングに関するよくある質問と、その回答を紹介します。
2社間ファクタリングは違法じゃないの?
よく言われているのは、ファクタリングが違法ではないかということです。
しかし、民法では債権譲渡は自由と定められているため、ファクタリングは違法ではありません。
債権を譲渡して金銭を受け取るという行為は、民法第555条の売買契約が適用されています。
また、債権の流動化については経済産業省中小企業庁が推奨しています。
これらのことから、2社間ファクタリングは国も認めた合法的な制度といえるのです。
2社間ファクタリングが向いているケースは?
資金調達の一つでもある2社間ファクタリングは、下記のような方に向いているといえます。
- 少しでも早く資金が欲しい
- ファクタリングをして売掛債権を現金化したいが、売掛先にその事実を知られたくない
- 取引先にファクタリングの許可を得るのが難しい
このような状況に該当する場合は、2社間ファクタリングを検討してみてはいかがでしょうか。
2社間ファクタリングの注意点は?
利用する際の注意点もいくつか考えられるので、こちらも事前に把握しておきましょう。
売掛金が回収できたら迅速に引き渡す
2社間ファクタリングでは、売掛金を一旦預かった後にファクタリング会社に引き渡すという手順が採用されています。
この引き渡しが遅れてしまったら、信用の失墜につながり以降利用できなくなることもあるので注意しましょう。
資金繰りの悪化に注意する
お伝えした通り、2社間ファクタリングの手数料は割高です。
頻繁に利用すると、資金繰りが悪化してしまうことも考えられます。
経営改善のためのファクタリングによって、資金繰りが悪くなるという本末転倒なケースにもなりかねないのでご注意ください。
悪徳会社にご注意を
ファクタリング会社の中には、利用者をだまそうとする悪徳業者も存在します。
なかには、売掛先企業の倒産リスクを利用者が負わされることもあるので気を付けないといけません。
悪質な業者の見分け方は次項で解説します。
2社間ファクタリングの利用先の選び方は?
優良な会社と悪徳業者との見分け方は、償還請求権の有無と手数料を確認します。
償還請求権の有無
2社間ファクタリングでは、利用者に償還請求権は発生しません。
一般的に売却した債権が回収できなかったとしても、利用者がその分の支払いをする必要はないため、償還請求権がある場合は悪質業者と疑ってもよさそうです。
手数料
設定された手数料が、上記した相場より著しく高かったり低かったりする場合も注意が必要です。
また、取り引き前に明瞭にされていない時も悪質業者の可能性があります。
手数料については、優良な会社であっても手数料にばらつきがあるため相見積もりを取っておくと安心です。
まとめ
2社間ファクタリングは、資金が不足していてなるべく早く現金化したいという事業者に非常に便利な制度です。
売掛先にファクタリングをしていることも知られないので、少ないリスクで現金を得られるでしょう。
しかし、手数料が高かったり悪徳業者が潜んでいたりと注意点はいくつもあるので利用する際は慎重に行なってください。
また、資金調達でお困りの際は創業に詳しい税理士を紹介してくれるCEOパートナーに相談するのがおすすめです。
事業の現状や経営状況、希望などを聞いた上で、ファクタリングを含めた最適な資金調達法を提案します。
資金調達後の経営アドバイスも行なっているので、長く事業を続けるためにも一度問い合わせてみましょう。
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