適格返還請求書とは何なのか、インボイス制度を知る上で必ず疑問に思う部分ではないでしょうか。
簡単に言うと返品や値引きなどといった、返金や対価の返還が売り手から買い手に向けて行なわれるときに発行が必要となる書類です。
ここでは適格返還請求書の概要と6つの記載項目、さらに発行時の注意点や無料で使えるテンプレートまで、幅広くご紹介していきます。
実際に読み進めていくことで必要性の理解から、テンプレートを用いた作成まで叶いますのでぜひ参考にしてくださいね。
最後の章では税務の不安をいつでも相談できる税理士サービス「CEOパートナー」をご紹介していますので、一人でインボイス対応するのに不安を感じている事業者の方は要チェックです!
適格返還請求書とは?
まずは、適格返還請求書がどのようなものなのかその概要や特徴について解説します。
返品や値引きなど返金・対価の返還時に発行
適格返還申請書とは、適格請求書発行事業者が商品の返品や値引きに応じた際に発行する書類のことをいいます。
発行が義務付けられているのは、課税事業者と取引を行った場合です。
免税事業者や一般消費者との取引では使用されることはありません。
適格請求書とは意味も役割もまったく異なる
適格返還請求書と似た言葉に、適格請求書があります。
適格請求書とはインボイスのことを指し、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額を伝える書類のことです。
一方の適格返還請求書は、返品や値引きをする際に交付する書類のことをいいます。
適格返還請求書「返還インボイス」と呼ばれることもあり、両者は似ているようで意味も役割もまったく異なるので注意しましょう。
発行が必要となる具体的なケース例
では、適格返還請求書はどのようなケースのときに発行されるのでしょうか。
たとえば、A社がある商品を100万円でB社に販売したとします。
しかし、販売後にその商品に欠陥が見つかり10万円の値引きをすることになりました。
その場合は、10万円分の適格返還請求書を発行しなければなりません。
これが適格返還請求書の主な使われ方です。
保存期間と保存形式
適格返還請求書は、発行後に売り手と買い手のいずれも一定期間保存しなければならない決まりがあります。
その期間とは、課税期間の末日の翌日から2か月が経過した日を起点にして7年間です。
なお、保存形式は紙面のほかに電子メール・インターネット上での電子データによるものでも認められています。
発行が免除されるケースもある
とはいえ、数百円・数千円の返品や値引きにすべて対応していたら大変です。
そのため、現在では返品や値引きによる売上の返還額が1万円未満であれば、適格返還請求書の発行が免除されるとの規定が設けられています。
小さい金額の商品を数多く販売する事業者にとっては、業務の手間が省ける制度でしょう。
適格請求書とまとめての発行も可能
下記2点を適格請求書に記載すれば、1つの書面にまとめて交付可能です。
- 当月売上に係る適格請求書の記載要件
- 前月売上の対価の返還などに係る適格返還請求書の記載要件
また、継続取引が前提であれば下記2点を税率ごとに記載することで一つの書面にまとめられます。
- 当月の売上代金から前月の返還等の金額を相殺した金額
- その金額に基づいて計算した消費税額
わけて作成すると、その分煩雑になりミスも発生しやすいので、まとめられる時はまとめて発行しましょう。
適格返還請求書に記載する6つの項目
実際に適格返還請求書を発行するときに必要な項目について解説します。
実例も併せて紹介するので、確認しておきましょう。
適格請求書発行事業者の名称と登録番号
適格返還請求書を発行する事業者の名称と登録番号を記載します。
個人事業主の場合は、名称部分を氏名にして書いてください。
登録番号はアルファベットのTと11桁の数字を組み合わせたものです。
国税庁から発行されるのでそちらを記載しましょう。
<記載例>
株式会社●●
登録番号 T0000000000000
対価を返還する年月日
商品の返品や値引きなど対価を返還する日付を記載します。
ただし、適格請求書と適格返還請求書をまとめて発行する場合で、当月の請求額から返還分を差し引くときは請求書の日付で問題ありません。
いずれも必ず年・月・日まで書くようにしましょう。
<記載例>
2024年8月7日
返還対象となった取引の年月日
返還対象となる商品やサービスがいつ取引されたのかを記載します。
たとえば、商品が返品されるとなったら元々どの日付で購入したのかを書くようにしてください。
日付を個別で区切るのが難しい場合は、「~」などを使ってその期間分かるようにすれば問題ありません。
<記載例>
2024年5月1日~30日
返還対象となった取引内容
返還するに至った商品の取引内容を記載します。
返品の場合は、商品名と個数を書くようにしましょう。
軽減税率の対象となる時は、その旨を請求書内にわかるように明記してください。
<記載例>
●●(商品名) 200個
税率ごとに区分した返還の合計額
返還を予定している金額を適用税率ごとに表示する項目です。
税込みか税抜きかの明示も必要とされます。
どちらに該当するかわかるように記載しておきましょう。
<記載例>
8%対象:5,400円
10%対象:22,000円
返還の金額に発生する消費税額または適用税率
返還を行う際は、金額にかかる消費税額についても税率ごとに明記しましょう。
適用税率を記載した隣に、下記のように書いておけば問題ありません。
<記載例>
8%対象:5,400円 (消費税 400円)
10%対象:22,000円 (消費税 2,000円)
適格返還請求書を発行するときの注意点
適格返還請求書は、発行時にいくつか注意点があります。
見落としがちなポイントなので、確認しておきましょう。
売り手に発行の義務がある
適格返還請求書を発行できるのは、売り手が買い手に返金をする場合のみです。
基本的には下記ケース以外では発行できないのでご注意ください。
- 買い手と売り手の双方が課税事業者である
- 売り手側が適格請求書発行事業者として登録済みである
販売奨励金を設けるなら対応が必要
返金や返品がメインとなる一方で、販売奨励金を支払う時も適格返還請求書は発行されます。
対応ができるように、事前に準備しておきましょう。
フォーマット作成やシステム構築など準備しておくことはいくつかあります。
請求書発行システムもあるので、検討してみてください。
発行を怠ると罰せられてしまう
適格返還請求書の発行は、返還が発生した時点で売り手側の義務となります。
発行を怠ると、一年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる可能性があるので注意が必要です。
忙しいと後回しになり、忘れがちになるのでメモとして残しておくとよいでしょう。
適格返還請求書の無料テンプレート
ここまで読んで、適格返還請求書がどのようなものかイメージできたでしょうか。
実際のテンプレートも用意しているので、ご覧ください。
マネーフォワードクラウドのテンプレート
会社経営者から個人事業主まで役立つ請求書・見積書・納品書などのテンプレートをいくつも用意しているのがマネーフォワードクラウドです。
メールアドレスを登録して簡単なアンケートに答えるだけで無料でダウンロードできます。
適格返還請求書のみのテンプレートと、適格請求書も含めたテンプレートのどちらも用意しているので、確認してみましょう。
freee請求書のテンプレート
freee請求書は、入力した内容がリアルタイムで書類に反映されるため、実際の出来上がりをイメージしながら作成できるのが特徴です。
消費税や源泉税なども自動で計算してくれます。
入力ミスや計算ミスを防いでくれるのがメリットです。
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その理由を以下で解説します。
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まとめ
インボイスのことを指す適格請求書と、返金や値引き時に使用する適格返還請求書とは言葉は似ているものの、意味や用途はまったく異なります。
使用する場面や意味をきちんと把握して使い分けられるようにしましょう。
場合によっては、法律で罰せられる可能性もあるので注意が必要です。
運用に不安がある場合は、CEOパートナーに問い合わせしてみてください。
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