「飲食店を開業したいけれど、資金調達や開業までの手続きが分からない」
という方も少なくないでしょう。
飲食店を開業する際に最も頭を悩ませているのがこの資金調達。
どれぐらいの資金をどのようにして調達すればいいのか。
居酒屋の開業には最低700万~1200万円が必要といわれていますがどの規模感で開業するのかや形態によって様々です。
こだわればこだわるだけ開業資金が必要になってきます。
もちろん全てを自己資金でまかなうことができる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、そうではない方の方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では飲食店の夢を叶えるための費用や具体的なステップについて、初心者でもわかりやすく解説していきます。
飲食店経営の第一歩を踏み出したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
飲食店開業までのステップバイステップガイド
ここでは飲食店開業までにやるべき4つのことについてご紹介していきます。
飲食店はサービスの中でも競争率が高く、情勢の影響を受けやすい業種でもあります。
まずはこの4つを完璧にしていきましょう。
アイデアから計画へビジョンの明確化
まずは今現状自身が考えている飲食店のアイデアを計画にしていきます。
そのために創業計画書を作成しましょう。
創業計画書は創業動機や経営者の略歴、取扱商品・サービス、必要な資金と調達方法、事業の見通しといったポイントを明確に記載することが求められます。
特に、必要な資金と調達方法については設備資金と運転資金の両方を具体的に示し、事業の見通しについても信ぴょう性の高い金額を提示できるように考える必要があります。
また、飲食店は競争率の高い業種なので生き残るためにも他店との差別化を図らなければいけません。
そのためにも市場調査をしっかりと行いましょう。
自身が持っているビジョンを曖昧のままにするのではなく、明確化させることが成功の鍵です。
開業に必要な資金の調達
飲食店を起業する際に必要となる資金は、不動産取得費と設備投資資金が最も大きな割合を占めます。
具体的な内訳は、スケルトン物件の場合は物件取得費用、内装工事費用、食材仕入れ費、開業諸経費、設備費などが必要です。
一方、居抜き物件の場合は造作代金、内装工事費用、食材仕入れ費、開業諸経費などがかかります。
冒頭でお話したように居酒屋開業には最低700万~1200万円ほどの資金が必要で、軌道に乗るまでの時間は一般的に半年以上かかると言われています。
開業資金を抑えて運転資金を多く残すことが重要で、運転資金があれば売り上げが出ず赤字となっても店を残し、打開策を打つことができます。
規模や土地によって異なるため、必要となる資金をしっかりと把握しておきましょう。
各種必要な届け出を提出する
飲食店のを開業するには必要な届け出を各機関に提出しなければいけません。
また、その届け出を提出するには必要な資格も存在します。
以下の表に必要な届け出と資格をまとめたので参考にしてください。
参考記事:起業はカフェ開業で叶えよう!夢を実現する8ステップと成功ポイント
集客のために宣伝を行う
どれだけ雰囲気が良くても、美味しいメニューがあっても集客がなければ全く意味がありません。
自身が開業する飲食店の宣伝はとても重要になります。
チラシや看板などを作成してまずは開業することを周囲に広めます。
お店のサイトやSNSを作成して宣伝することも効果的です。
多くの方に知ってもらうためにも宣伝は力を入れて行いましょう。
参考記事:起業が儲からない原因は仕事の取り方にあった!集客に困らない4つの解決策
飲食店開業のための資金調達方法4選
飲食店を開業する際の資金調達方法は様々です。
日本政策金融公庫などの金融機関からの借入れが一般的ですがその他にも親族・知人からの融資、クラウドファンディング、インターネット上での借入れなどがあります。
本章ではそれらの方法について詳しくご紹介していきたいと思います。
日本政策金融公庫
飲食店を起業する際の資金調達方法として、日本政策金融公庫の利用がおすすめです。
日本政策金融公庫は、創業企業を積極的に支援する政策金融機関であり、新たに事業を始める方や始めて間もない方に融資を行っています。
特に、「中小企業経営力強化資金」は、認定経営革新等支援機関と協力することで、他の金融機関で融資を受けるよりも手厚い支援が受けられるといったメリットがあります。
その他にも東京都内には、女性・若者・シニア向けの創業サポートがあり、低金利で長期的な借り入れが可能です。
具体的な融資条件や申し込み方法については、日本政策金融公庫のウェブサイトや下記の記事に詳しくありますので参考にしてください。
参考記事:日本政策金融公庫の創業融資が選ばれる4つの理由!審査通過の裏技も
地方銀行や信用金庫
地方銀行や信用金庫からの融資も資金調達方法の1つです。
地方銀行や信用金庫は、地域に密着した金融機関であり、飲食業の事業計画や資金繰りについて相談しやすい点が特徴です。
日本政策金融公庫よりかは金利がやや高くなってしまうことが難点と言えますが、積極的な営業や担当者の訪問、きめ細やかな対応が期待できるという魅力があります。
参考記事:地元に根づく創業融資制度がここにある!まさに信用からなる信用金庫とは
クラウドファンディングやネット銀行
飲食店の資金調達方法として、近年注目を浴びているのがクラウドファンディングです。
クラウドファンディングは様々な特徴を持つサイトがあり、自分のニーズに合ったサイトを選択することができます。
さらに、副次的効果として認知度の向上やファンを得ることが可能です。
飲食店開業資金調達だけでなく、副次的効果も得られるのがこのクラウドファンディングなのです。
また、ネット銀行は手続きがオンラインで完結しやすく、迅速な審査が特徴です。
しかし金利が他に比べるとやや高めなので慎重に検討しなければいけません。
参考記事:会社設立はクラウドファンディングで実現!資金とファンを同時に掴め
親族や友人からの資金調達
飲食店を開業する際の資金調達方法として、親族や友人からの借入れがあります。
しかし、血縁関係や友人関係でのお金の貸し借りは注意が必要です。
返済義務の有無や利子、返済期間などを明確にしておきましょう。
融資の審査が通りやすくなる3つのポイント
開業資金を調達するには融資を受けるのが1番です。
しかし、融資は誰でも簡単に受けられるわけではありません。
そこで本章では融資を受ける際の3つのポイントをご紹介していきます。
このポイントを抑えるだけで融資の審査の通りやすさは格段にあがります。
自己資金は借りたい金額の1/3が理想
融資の審査では自己資金=本気度と見られることが多いです。
なので創業資金に対し3分の1以上の自己資金を準備し、物件の賃貸借契約書や借り入れ用見積書、創業計画書、自己資金を証明するものを準備しましょう。
また、税金・年金・保険での未納がない状態にすることが求められるのでそこにも注意をしておきましょう。
参考記事:公庫の創業融資は自己資金の有無がカギ|審査通過しやすい3つの方法
創業計画書の書き方と記入のポイント
融資を申請する際に提出する書類の中で最も重要とされているのが「創業計画書」です。
創業計画書は創業の動機や経営者の略歴、取扱商品・サービス、必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載します。
ポイントは以下の通りです。
- 創業の動機・・・開業するお店のコンセプトや信念を簡潔に伝えること。
- 経営者の略歴・・・勤務経験や取得資格など具体的な情報を記載し、能力をアピール。
- 取扱商品・サービス・・・開業するお店の魅力を伝えるために明確に。
- 必要な資金と調達方法・・・設備資金と運転資金について具体的な情報を提示し、裏付けを持った金額を示すこと。
- 事業の見通し・・・返済能力を示すために具体的な数字を提示し、信ぴょう性の高い金額を提示すること。
融資審査官はこの創業計画書をベースに審査を進めます。
限られた枠の中で、いかに的確に創業の意図や将来性を伝えることができるか、それが審査通過の決め手となります。
洋風居酒屋の創業計画書の記入例は以下になります。
写真だと少し見づらいのですが、創業計画書を含めた各種申請書類は日本政策金融公庫のホームページから閲覧やダウンロードが可能なのでぜひ活用しましょう。
引用元:日本政策金融公庫(各種書式ダウンロード|国民生活事業)
困った時は専門家に相談
融資には様々な書類の作成や面談があり、1人でやるには多大な時間と労力がかかります。
そんな時は専門家に頼るのも1つの手です。
無料で相談に乗ってくれる機関が全国各地にあります。
有名なところでいうと商工会議所やよろず支援拠点、中小機講などが挙げられます。
中でもおすすめなのがCEOパートナーです。
CEOパートナーは融資に強い税理士とマッチングしてくれて、必要な書類を任せることができる他、面談のサポートも行ってくれます。
相談自体は完全無料で融資が降りなければ費用は一切かかりません。
融資は一度落ちてしまうと半年以上申請できないことや2回目の審査はより厳しくなったりするため最初の1回が非常に重要になります。
成功させるためにも専門家への相談を検討してみてください。
開業後も資金繰りをしなければいけない理由と方法
飲食店の開業において資金繰りはとても重要になります。
そしてそれは開業した後も重要になってくるのです。
ではなぜ資金繰りを開業後にもしなければいけないのでしょうか。
本章ではその理由と資金繰りのコツについてご紹介していきたいと思います。
資金繰りをしなければいけない理由
何度かお伝えしましたが、居酒屋の開業には最低700万~1200万円ほどの資金が必要と言われています。
さらに、開業してから軌道に乗るまでには半年以上かかることが一般的です。
この期間中は赤字経営を覚悟しなければなりません。
そのため、最低6ヶ月分の運転資金を確保することが重要です。
運転資金は仕入れ代金、人件費、家賃、光熱水道代などを含みます。
売上高から逆算して運転資金を計算していきましょう。
常にお金の流れを把握し、必要に応じて資金繰りをしなければいけないのです。
運転資金の融資は金融機関から
飲食店の運転資金の調達は金融機関から融資を受ける方法があります。
しかし、金融機関はどこでもいいというわけではなく選び方が重要になってきます。
リスクが高い場合や担保が少ない場合は、融資の審査が通りにくくなりますがその際には、保証人を立てる方法や複数の融資を受ける方法を用いると融資をしてくれる可能性が高くなります。
それは保証人を立てることで貸し倒れのリスクが低下するからです。
しかし、それでも難しい時や別の金融機関であれば無担保で受けることができた、という場合もあります。
金融機関によって審査の基準や融資額は様々なのです。
また、複数の融資を受けることで融資額がわずかでも認めてもらえる可能性が高まりますが、管理が面倒になるデメリットもあります。
自身がどれぐらいの金額が必要なのかなどを正確に把握し、現状分析を行った上で融資を行ってくれそうな金融機関を選択することが重要です。
参考記事:会社設立の借入は誰にだってできる!4つの金融機関を徹底解説
融資以外で資金繰りする方法
融資は必ずしも受けれるとは限らないのでそれ以外の選択肢も検討することも必要になります。
助成金や補助金もその内の一つです。
補助金は経済産業省や厚生労働省が運営しており、事業支援や創業支援などをサポートするために支給されます。
助成金は一定の条件を満たしていれば誰でも受け取ることが可能で、返済の義務がないものもあります。
助成金の種類によって支払われる時期は異なり、半年後や1~2年後に支払われるものもあります。
特に飲食店でよく使われる助成金にはキャリアアップ助成金や特定求職者雇用開発助成金があります。
厚生労働省管轄の助成金についてはハローワークで無料相談を受け付けているため、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
飲食店を開業するためには、資金調達が不可欠です。
不動産取得費や設備投資資金、運転資金など、多くの資金が必要となります。
しかし、自己資本だけではまかなえないことがほとんどであり、融資を利用することが一般的です。
融資には様々な種類があるので、自身の状況や周囲との関係などを考慮して最適な資金調達方法を選択をしましょう。
本記事が飲食店開業を志す方の参考になれば幸いです。
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