開業費の償却は難しくない!節税につながる6つのポイントと仕訳例を紹介

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開業費を償却するやり方について、正しく知識を付けておきたいですよね。

今回は開業費の償却について、やり方を簡潔にご紹介するとともに、正しく、また損のないように抑えておきたい6つのポイントを解説していきます。

実際の仕訳例やよくある質問、頼れる税理士サービスについてもご紹介をしていますので、開業費の償却において不安のある方はぜひ最後まで確認してみてくださいね。

目次

開業費の償却のやり方

方法

会計業務に関する知識は、知っておくだけで日々の営業活動でも重宝すること間違いなしです。

ここでは、主に独立開業時にかかる費用である「開業費」について述べていきたいと思います。

そもそも償却とは?

「償却」そもそもの意味は、「借金などをすっかり返すこと(=ゼロにすること)」となります。

一般的には、会計用語である「減価償却」の意味で使われていることが多いと思います。

すなわち、「有形固定資産の使用または時の経過などによって生じる価値の減少分を、固定資産の耐用年数に割り当て、費用として配分する会計上の手続き」となります。

何らかの資産を購入した場合、通常は取得(購入)した金額をそのまま費用(経費)として計上しますが、減価償却の対象となる資産であれば、定められた耐用年数に合わせ、何年にもわたって少しずつ資産価値を減少させることができます。

合計10万円以上で償却可

減価償却が必要か否かは、資産の取得(購入)金額によって変わります。

原則として、10万円以上であれば減価償却を行いますが、10万円以上20万円未満の場合は一括償却資産、20万円以上30万円未満の場合は少額減価償却資産の特例が適用されることがあります。

5年で均等償却or任意償却

償却方法としては「均等償却」と「任意償却」の2種類があります。

均等償却は、定められた償却期間で均等に費用を按分し、毎回同額を費用として計上します。

期間は基本的に5年間となっています。

これに対し任意償却は、0円~前期末までの未償却残高の範囲で金額を自由に設定できます。

例えば、利益が赤字になってしまう場合は開業費を償却せず、逆に黒字になった場合は課税所得を減らすために償却する、という方法が採れます。

均等償却の償却期間は5年となっていますが、任意償却の場合、未償却残高を計上するタイミングも自由に決められ、6年目や7年目であっても経費計上は可能です。

このように減価償却費計上のタイミングを自身で決められるため、やり方次第では業績の見え方や節税効果が期待できます

ただし一定の専門知識が必要な分野であり、専門家に依頼してやってもらうのがベターでしょう。

事業形態別:開業費に含まれるもの

事業を開始する際にかかる費用全般を「開業費」と呼びます。

これらは「繰延資産」として、翌年以降も経費計上することができますが、開業費として計上できるものとそうでないものがあり、個人事業主と法人によってそれぞれが異なります

会計処理の仕方によっては費用の増減ならびに節税効果に大きく関わるため、開業費として計上できる範囲を知っておくといいでしょう。

個人事業主の場合

開業費として計上できるもの
  • 開業のためのセミナー参加費用
  • 開業調査のための旅費やガソリン代
  • 通信費用
  • 関係先との打ち合わせ費用
  • 関係先への手土産
  • 開業までの借入利子
  • 開業前に使用した土地建物賃貸料
  • 開業前に使用した公共料金
  • 開業前に購入した消耗品費
  • 広告宣伝費
  • パソコン購入費用
開業費として計上できないもの
  • 取得(購入)費用10万円以上の固定資産
  • 仕入代金
  • 敷金、礼金

法人の場合

開業費として計上できるもの
  • 研修費
  • 広告宣伝費
  • 市場調査費用
  • 印鑑作成費用
  • 名刺制作費用
  • その他特別に支出した費用
開業費として計上できないもの
  • 事務所や店舗の家賃
  • 事務所や店舗の水道光熱費
  • 取得(購入)費用10万円以上の固定資産
  • 仕入代金
  • 敷金、礼金

開業費の償却における6つのポイント

指さし

前項を踏まえて、開業費を減価償却するにあたってのポイントを下記に紹介します。

開業前に発生した費用も含む

例えば開業するにあたって、業種職種によっては物件の下見や業者との打ち合わせ等が生じます。

あるいは、開業するにあたって必要な資格取得や申請、セミナー等を受講する必要もあるでしょう。

これらにかかった費用は、基本的に法人個人問わず開業費として計上することができます

ただし法人の場合は設立後、実際に営業を開始するまでの間に特別支出した費用が開業費と定義されますので、個人事業主のほうが広範囲に申告が可能でしょう。

任意償却なら金額設定が自由

償却方法として任意償却を選択すれば、その年に経費計上する金額の設定を自由に行ないながら、赤字・黒字の調整や税負担の軽減が叶います

特に開業初年度は赤字となりやすいため、任意償却をうまく活用して負担の調整を行ないましょう。

領収書の保管を必ず行なう

原則として、開業に関する領収書は手元で保管しておくことが求められます。

しかしなかにはうっかり紛失してしまったり、支払方法や購入方法など、何らかの理由で領収書の発行が難しい、あるいは過去に遡っての再発行ができなかったりなどのケースに遭遇することもあるでしょう。

しかし、領収書が手元にないからと言って、必ずしも経費計上ができないというわけではありません。

領収書が手元にない場合は、「支払証明書」を作成することによって、経費計上が可能になります。

支払証明書はネットや店頭等で市販されており、作成そのものもすぐにできます。

ただし、あくまでも領収書がない場合の対処方法であり、支払った者が作成する自己申告の書類であることから、記載された金額が高額だったり、あまりにも数が多いようだと、場合によっては税務調査の対象にもなり得ることから、注意が必要です。

そのため、支払証明書と合わせて、他に証拠となるような資料などもあるとよいでしょう。

仕訳帳への記入で管理を行なう

開業に際し何らかの費用が発生した場合は、領収書の保管と合わせ、速やかに仕訳帳に記帳しましょう

開業前に支払った経費は、「開業費」で仕分けします。

基本的には明細ごとに記帳するのが望ましいですが、詳細な内訳を別途まとめて集計しているのであれば、まとめて記帳してしまってよいかと思います。

近年は「弥生会計」や「freee」のようなクラウド会計ソフトが広く普及し、操作もより直感的かつ簡略化され、初めての方でも戸惑うことは少なくなったように思います。

初めのうちはまだ自分ひとりでもできる内容かと思いますが、会計業務に対する理解がなかなか追い付かない、本業が忙しくてなかなか時間が割けない場合などは、専門家にお願いした方が効率的かもしれませんね。

減価償却資産台帳への記入も行なう

開業費が合計10万円以上となる場合は、仕訳帳に加えて減価償却資産台帳への記入を行なう必要があります。

経費は発生するだけでなく、繰延資産として取得から減価償却、さらに売却や除去などといった経緯をすべて記載して詳細に管理することが求められるためです。

仕訳帳と減価償却資産台帳は必ず内容を一致させ、開業費の修正を行なうには両方の修正を忘れないようにしましょう。

所得の大小で調整すると節税に

減価償却を行う最大のメリットは、節税になることです。

基本的に事業によって得た利益に対して課税されますが、資産の購入費用を何年にもわたって減価償却することにより、利益額を一定の間抑えることができます

また、正しく減価償却を行うことにより実態に即した正確な財務状況を把握できるため、決算書の見栄えが金融機関ウケする(=融資が通りやすい)という側面もあるようです。

開業費の償却時の仕訳

仕訳

少し実務的な内容になりますが、開業費はどのように仕分されるのか見てみましょう。

開業前に購入した事務用品の仕訳

パソコン(3万円)と机(2万円)、合計5万円を購入した場合の仕訳の仕方を見ていきましょう。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
開業費50,000円元入金50,000円パソコン2万円、机3万円で購入

開業前は事業がまだスタートしていないため、事業用資金はありません。

そのため現金ではなく、「元入金」という勘定科目で仕訳をする必要があります。

開業時の広告宣伝費を5年で償却する仕訳

開業費の合計金額が10万円を超えると減価償却が可能となり、開業費は資産の科目、開業償却費は経費の科目として仕訳帳へ記入します

例として4月1日に開業し、その時点で開業費(広告宣伝費)が20万円だった場合で見てみましょう。

資産科目の仕訳は、借方(=左側)が開業費で20万円、貸方(右側)が現金で20万円となります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
開業費20万円現金20万円広告宣伝費

償却金額は、開業費全額÷5年×当該年度の残月数/12となります。

今回の場合だと、20万円÷5年×9カ月/12カ月=3万円となり、初年度の経費科目の仕訳は以下のとおりとなります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
開業費償却費3万円開業費3万円開業準備費

開業費の償却についてよくある質問

よくある質問

開業費の償却に着手する方からよく挙がる質問をまとめてみました。

恐らく同じ不安を抱く方が少なくないかと思いますので、償却に取りかかる前にぜひ一通り確認してみてください。

開業費は1年目に経費計上しなくてもいい?

開業した年に全額経費計上できますが、翌年以降に経費計上することもできます

開業1年目で大きく利益を出すことは難しいと思います。

そこで、利益の少ない1年目は計上せず、2年目3年目に計上するという方法を取ることができ、これによって節税効果も期待できます。

何年前の費用まで開業費として認められる?

法律上、特に定められた期間はありません

極端な話、開業に使われた出費であると証明できる領収書やレシート等があれば、開業費として認められる場合もあります。

実務的な観点から見れば、開業する半年前から1年前のものであれば、ほぼ開業費として認められるでしょう。

開業費が10万円以下の場合は償却できない?

開業費が10万円以上か未満かで扱いが変わります。

購入金額の合計が10万円以上であれば、開業のためにかかった費用を開業費として計上し、開業後に償却することができます。

一方で10万円未満の場合、開業日の日付によって扱いが異なり、開業日以前のものであれば開業費として計上できますが、開業後のものであれば、開業費に計上できません

開業費として認められないものは?

パソコンや備品などで、購入価格10万円以上のものは、開業費ではなく固定資産として処理するのが一般的です。

仕入代金に関しても、売上の元となる売上原価とみなされるため、同じく認められません。

さらには事務所や店舗を借りる際に生じる敷金・礼金も、一見開業費として認められそうな項目ですが、原則として開業費として認められていません。

繰延資産と固定資産の違いは?

固定資産は長期間にわたって事業活動に使用されるもので、建物や機械、設備などの有形固定資産と、特許権や商標権などの無形固定資産に分かれます。

一方、繰延資産は流動資産や固定資産に分類されないもので、具体的には「創立費」「開業費」「開発費」「株式交付費」「社債発行費」等が挙げられます。

繰延資産は将来的な収益に寄与すると認められるため、費用としてすぐに計上せず、数期に渡って償却するのが原則です。

開業費の仕訳はCEOパートナーに依頼しよう

ceoパートナー

ここまでの説明である程度理解できる方は、おそらくこれまでの仕事で決算書を読み込んだり、会計・経理の仕事に携わったことがある方だと思います。

しかし、これら仕事に全く携わったことがない方たちからすれば、これまでの説明はハッキリ言ってちんぷんかんぷんではないでしょうか。

しかし、安心してください!

そういう時は、CEOパートナーに全てお任せあれ!!

開業に詳しい税理士によるコンサルサポート

CEOパートナーの大きな特徴は、提携している税理士によるコンサルサポートが受けられることです。

これまで多くの方の独立開業の手助けをしてきましたが、多くの方はその分野での第一人者であったり、プロと呼ばれるような技術やスキル、知識を持っている方々ばかりでした。

しかしそれゆえ、他の分野については素人レベルという方も多く見受けられました。

かと言って従業員を雇うまでのレベルではない、あるいは余裕がない…そんな時は、「外注」して専門家に丸投げするのが得策です。

資金調達から開業後の税務まですべてお任せ

税務や会計など数字が絡む部分は、経営を行っていく上で重要であることに間違いはないと思いますが、苦手意識を持つ方も多く、分かってはいてもなかなか身に付かないのが実情かと思います。

特に資金調達においては、金融機関の目線で審査が行われるため、いくら手に職がある、腕に覚えがあっても、事業に対する想いや熱意だけではどうにもなりません。

日々の帳簿付けや会計作業も、言うなれば単純作業の繰り返しですが、それゆえ後回しにしがちで、溜まればそれなりのボリュームになり大きな負担となってのしかかります。

このように開業間もないタイミングは、本業以外にもさまざまにやるべきことがたくさん出てきます。

自分ひとりですべてを何とかしようと思わず、頼れるところや任せられる人に一任してみてはいかがでしょうか

無事に開業するまでは無料で相談可能

タイトルだけ見れば、「タダより高いものはない」と思う方、なかにはいらっしゃるかと思います。

しかし、「千里の道も一歩から」―まずはお気軽に無料相談だけでもいかがでしょうか。

これまでCEOパートナーをご利用いただいた方からは、「誰に相談すればいいか分からない」「何をどうすればいいか分からない」といったものから、「確実に資金調達できる方法を教えてほしい」「補助金や助成金制度も活用できるのか」といった踏み込んだものまで多々ありました。

こうした相談を基にさまざまなアドバイスとサポートを行ってまいりましたが、直接的であれ間接的であれ、何かしらきっとお役に立てると思います。

まとめ

将来的に独立開業を視野に入れている方は、日頃からさまざまな情報をチェックされているかと思いますが、なかには書籍を購入したり現地に赴いたり、勉強会やセミナー等に参加したりなど、行動の幅を広げておられる方もいらっしゃるでしょう。

今回のテーマで、これらにかかる費用は開業費として計上できることがわかりましたよね!

今からでも遅くはないと思いますので、それにかかったレシートや領収書をきちんと手元に保管しておきましょう

償却は正直専門的な知識が必要な部分でもありますので、CEOパートナーから効率よく税理士の紹介を受け、本業に費やす時間を確保しながら正確かつ節税につながる償却を行ないましょう

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この記事を書いた人

Webライター歴3年、現在は個人事業主として活動しています。独立を目指す方に私の経験で何か役立つものがあればと考え、主に起業に関する記事を書いています。趣味はK-POPとSFアクション映画と猫の動画を見ること。

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