起業時に潤沢な資金を全ての人が有しているわけではありません。
大方の起業家が資金調達をして起業します。
創業時の資金調達の王道は日本政策金融公庫の創業融資制度です。日本政策金融公庫の創業融資は数千万円の金額を低金利で融資できるとあって起業時の心強い味方となります。
しかしそういった融資と違い返済義務のない資金調達法があります。
それが給付金です。
今回は原則返済義務のない給付金の解説をしていきます。
1:起業するなら給付金は絶対に申請をしよう
起業するときにまず大事なのは資金ですよね。
莫大な資産が有りそれを元に事業をスタートさせる人はごくわずかです。
そんな中、融資などとまた違う種類の資金調達法が給付金になります。
資金調達というカテゴリーなのかどうかは置いておいて、いったい給付金とはどのようなものなのか説明していきます。
1-1 給付金とは国・地方行政などから支給されるお金
給付金とは国・地方行政などから支給されるお金のことを指します。
もちろん誰でももらえるものではなく、その給付金の種類によっての条件が存在します。
しかしその条件さえクリアしていれば誰にでも与えられるのが給付金の平等さ故の魅力です。
1-2 融資と違い給付金は原則返済不要
給付金は融資とは違い原則返済不要です。
この点が融資との一番の大きな違いです。
給付金は国や地方自治体から支給されるものがほとんどです。よって起業家を支援する目的があります。
しかし財源には当然限りがあります。なので日本政策金融公庫の創業融資のように大きい金額の支給はあまり望めません。
関連記事:創業融資とは貯金が少ない開業者の味方。1,000万融資もOK
1-3 民間団体から支給される給付金もある
給付金は国や地方行政からの支給とお伝えいたしましたが、稀に民間団体からの給付金もあります。
と言っても国の息のかかった銀行などですので半分民間といったところですが。
代表的なのは三菱UFJ技術育成財団の助成金制度が挙げられます。
民間という事で少し条件や基準は厳しいのですが、上手くいけば最大300万円の助成金が支給されます。
2:助成金と補助金の各給付金制度の違いについて解説
給付金には「助成金」と「補助金」という2種類があります。
厳密に言うと他にもあるのですがほとんどの給付金がこの2つに該当します。
返済義務がなく、どちらも国や地方自治体が主導する制度なので、会社設立時の先がわからない不安な状況下でも安心して利用できる制度です。
2-1 助成金
主に国や自治体が実施する制度で融資とは異なり原則返済義務はありません。
補助金と比べて審査や基準が緩く利用しやすい傾向にあります。
助成金は公的な資金から出ているお金のため対象基準を満たしていれば、ほぼ100%受給できます。
申請期間も長期間あり、随時募集されているため非常に受給しやすいと言えます。
2-2 補助金
助成金と同じく主に国や自治体が実施する制度で融資とは異なり原則返済義務はありません。
助成金と比べると審査基準や条件が厳しいのが難点です。
補助金は企業の事業をサポートするものであるため、採択件数や予算の金額が決まっていることが多く採択されない場合もあります。
3:起業時のおすすめ給付金5選
国や地方の給付金は数多く存在します。
その中でも申請すべきおすすめの給付金を5つ紹介します。
3-1 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
地域中小企業応援ファンドとは、中小機構、都道府県及び地域金融機関等が一体となって資金を拠出し基金を造成し、その運用益によりファンド運営管理法人が、創業や販路開拓などに取り組む中小企業者等へ助成している事業体です。
「地域中小企業応援ファンド」と「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類があり、全国約23都道府県の状況に応じ組成されています。
参考画像:中小機構
中小企業やベンチャー企業の創業・経営革新のための助成金ですので該当する方が非常に多いです。
ファンドという名前ですが、これは無利子の融資なので助成金とも呼ばれています。
ただし、数千万などの大きい金額は見込めないので注意しましょう。
中小機構のHP
3-2 キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は厚生労働省の事業であり、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。
従業員の雇用・待遇改善・キャリアアップをサポートする助成金で、自社の従業員への福利厚生を充実させた事業者に対して支給され、利用することにより従業員にもメリットがありますが、会社としても従業員の定着と質の向上によって経営が安定するといった効果があります。
キャリアアップ助成金は待遇の改善を設ける予定の事業によってコースが分類されます。
コース | 支給額 |
正社員化コース | 有期から正規雇用の場合1名あたり57万円 |
障害者正社員化コース | 有期から正規雇用の場合120万円 |
賃金規定等改定コース | 対象労働者1~5名は1名あたり32,000円、6名以上は1名あたり28,500円 |
賃金規定等共通化コース | 1事業所あたり57万円 |
賞与・退職金制度導入コース | 1事業所あたり38万円 |
短時間労働者労働時間延長コース | 1人あたり22万5,000円(大企業の場合は16万9,000円) |
3-3 創業助成金(東京都)
創業助成金(東京都)は公益財団法人東京都中小企業振興公社が設ける、一定の要件を満たす都内で創業を予定されている方または創業して5年未満の中小企業者等の方に、従業員人件費、賃借料、広告費等、創業初期に必要な経費の一部を助成しているものになります。
対象者は、都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件(※)を満たす方となります。
※「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資(創業)利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」等
助成限度額は上限額が300万円で下限額が100万円となります。
尚、助成対象経費は下記となります。
賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
3-4 ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
補助金額も100万円~1000万円となっていますのでおすすめの補助金です。
モノづくりや新事業を生み出すための設備投資やサービス開発などのための補助金なので、対象の方は是非申請しましょう。
3-5 IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の方が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
IT導入補助金は対象の業種が非常に多いので是非申請してみてください。
通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠と分類されているのでそれぞれ紹介していきます。
通常枠 | |
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者等(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象) |
補助対象経費 | ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 |
補助金額 | 30万~450万 |
セキュリティ対策推進枠 | |
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者等(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象) |
補助対象経費 | サービス利用料(最大2年分) |
補助金額 | 5万円~100万円 |
デジタル化基盤導入枠 | |
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者等(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象) |
補助対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、ハードウェア購入費、導入関連費 |
補助金額 | 5万円~350万円 |
4:個人事業主が支給可能なおすすめ給付金3選
今までは法人での給付金の説明をしてきましたが個人事業主はどうでしょう。
ここでは個人事業主の方におすすめな給付金を3つ紹介します。
4-1 事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響などにより当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、事業再構築を支援することで日本経済の構造転換を促す為の中小企業庁による補助金制度です。
新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する方には是非おすすめです。
従業員が5人以下の規模で最大500万円の申請ができます。
関連記事:創業融資は個人事業主でも不利にならない!公庫なら1千万円も夢じゃない
4-2 小規模事業者持続化補助金
商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者等が対象の補助金です。
持続的な経営に向けた経営計画に基づく小規模事業者の、地道な販路開拓や業務効率化の取り組みを支援してくれるものとなります。
補助金額は実際に使った費用の3分の2が補助され50万円が上限です。
しかし条件によっては補助率が4分の3、補助の上限額が200万円まで拡大されます。
4-3 革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金
革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金は先程紹介したものづくり補助金とほぼ同じなのですが、個人事業主の方も対象となります。
補助金額も100万円~1000万円と高額の支給も見込めるので是非申請しておきたい補助金の1つです。
日本には無数の給付金があり数に限りのある本サイトでは割愛しますが、この革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金をはじめ、中には法人だけではなく個人事業主も対象の給付金も存在するので、くまなく調べてみる事をおすすめします。
5:女性起業家におすすめな給付金3選
最近では日本でも女性の起業家が増えてきています。
政府も男女平等を掲げているだけあり、女性へのバックアップも以前と比べ充実しています。
そんな女性起業家向けのおすすめ給付金を3つ紹介します。
5-1 両立支援等助成金
両立支援等助成金は、仕事と家庭が両立できる職場環境づくりを支援するための厚生労働省が設ける助成金です。
支給金額はというと、育休取得時、職場復帰時それぞれ1人当たり28万5000円となります。また、生産性要件を満たした場合はそれぞれ36万円に増額されます。
さらに職場支援加算が認められた場合、職場復帰時の助成金に加えて19万円、生産性要件を満たすと24万円が加算されます。
この様に最大で約100万円もの支給が見込めます。
5-2 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、公益財団法人である東京都中小企業振興公社による給付金です。
目的としては、「都内商店街で女性又は若手男性が新規開業をするに当たり、店舗の新装又は改装及び設備導入等に要する経費の一部を助成することにより、商店街における開業者の育成及び支援を行い、都内商店街の活性化を図ること」とされています。
対象条件が少し細かいので以下にまとめておきます。
- 開業日(開店予定日)が、申請する回の交付決定日以降であること
- 女性 又は令和6年3月31日時点で 39歳以下の男性であること
- 「創業予定の個人」もしくは「個人事業主」であること
- 申請予定店舗が「都内商店街」であること
- 申請時点で都内に限らず実店舗(※)を持っていないこと
(※) 「実店舗」とは、現物を手に取ることができ、一般消費者に対して商品やサービスが常に提供可能な家屋を指します。
助成限度額は下記の図になります。
やはり助成限度額が大きいのが若手・女性リーダー応援プログラム助成事業の魅力ですね。
5-3 雇用関係助成金
雇用関係助成金とは、厚生労働省が設ける助成金であり「人材の雇用に関する条件を満たすことでもらえる支援金」のことです。
雇用関係の助成金の目的は労働者の職業を安定させることにあり、失業の予防、雇用機会の増大、障害者の雇用、労働者の能力開発を図ることとされています。
対象者は1人あたり月額最大4万円が最長3か月間にわたって助成されます。
認定を受けた事業主が35歳未満の対象者にトライアル雇用を行う場合は、1人あたりの支給額が5万円となります。
尚、対象者が父子家庭または母子家庭の場合、月額は最大5万円となります。
関連記事:起業時に活用したい創業融資!女性向け制度で最高7200万円まで融資
まとめ
今回は起業の際のおすすめ給付金という事でしたが、給付金の数が日本全国に無数にあるため、おすすめの給付金だけピックアップして紹介しました。
それでも限りがあり矢継ぎ早に紹介してしまったため、各給付金紹介の下にリンクを貼っておきましたので詳しくはそちらをご覧ください。
起業と言ってもおかれてる環境や軍資金も人それぞれです。
数ある給付金の中で自分が条件に当てはまる給付金に狙いを定めて申請していきましょう。
給付金は助成金や補助金と言われるだけあり、必ずあなたの起業を助けてくれ、また補ってくれます。
中には自分自身でどの給付金に該当するのかわからない方もいると思います。
CEOパートナーなら無料であなたの起業相談に乗ってくれます。給付金やその他、起業に関することは何でも相談してみましょう。
そして起業コンパスもあなたの起業が成功することを心から応援しています。
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