開業時の運転資金は生活費にできるのでしょうか。
事業の経営状況が悪化すると、個人事業主にとっては生活費に直接的な影響を与えかねないでしょう。
ただし運転資金として調達した費用は使途が決まっているため、安易に生活費としてしまうのはよろしくありません。
ここでは運転資金を生活費にできるのかどうか、結論をお伝えするとともに、事業主が生活費を正しく調達する方法をご紹介します。
借入における注目ポイントや、運転資金を調達するときの方法、さらにお金のことで困ったときの相談先を案内していきますので、事業により苦しい財務状況となっていて挽回策を探している方はぜひ最後まで確認してみてくださいね。
開業時の運転資金は生活費に充てられる?
では早速、開業時の運転資金と生活費についての関係を解説していきます。
運転資金を生活費とするのはNG
結論としては、事業資金として融資を受けた運転資金を生活費とすることはできません。
融資を受ける際には、審査段階でその資金使途を聞かれます。
事業融資の場合は、資金使途を創業時や事業運営に必要な事業資金に限るとしています。
その中には運転資金も含まれているため、事業運営時に受けた融資を生活費とするのは難しいのです。
運転資金はあくまでも事業資金
運転資金とは、企業が事業を維持していく上でかかるさまざまな費用のことです。
そのため、運転資金を生活費とすることは、考え方からして無理があると言えます。
個人事業主の場合は事業資金とプライベートのお金がどうしても混在してしまいがちですが、融資を受けるなら明確に使途を分けておかなければ指摘されてしまいかねません。
生活費としたときの2つのペナルティ
では、融資金額を資金使途以外に使った場合にはどのようなペナルティがあるのでしょうか。
一般的には以下の2つが考えられます。
- 金融機関との信頼関係が損なわれるため、次回以降の取引に影響がある
- 受け取った融資の一括返済を求められる
融資は信頼関係でつながっている部分が多いにあります。
その信頼関係が損なわれることで、次回以降の借入が難しくなったり最悪の場合は一括での返済を求められたりすることもあるでしょう。
そうならないように、くれぐれもご注意ください。
個人事業主が生活費を調達するには
とはいえ、事業を進める上で生活を切り詰めて行わなければならない場面も出てくるでしょう。
こちらでは生活費の調達方法についてご紹介します。
そもそも生活費の定義は?
個人事業主の生活費については、下記のような費用が該当します。
- 住宅ローンや家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 食費
- 交際費
- 家具や服、その他趣味として使う費用
など、基本的に日常生活で必要な資金のことを指します。
事業で利益が出た場合には、その利益でまかなうことが可能です。
ただし、利益がない場合はこれまでの貯蓄を切り崩したりしなければなりません。
生活福祉資金貸付制度
低所得者や高齢者、障がい者を経済的に支えることを目的とした融資制度が生活福祉資金貸付制度です。
地域の社会福祉協議会が実施しており、保証人がいる場合は無利子で借り入れができます。
ただし、目的はあくまでも生活が苦しい人を助けることで、原則的には低所得者向けの制度です。
必要資金の借り入れが難しい世帯などの条件が定められている場合もあるのでご注意ください。
フリーローン
すぐに融資が必要ということであれば、フリーローンを検討するのも有効でしょう。
資金使途については、生活費でも問題ありません。
ただし、事業資金と生活費のどちらも使用できるという場合は金利が高くなるのでご注意ください。
一方で、金利が低めの融資を利用したい時は年収要件などがついていることもあります。
あらかじめどんな制度があるのか比較して選ぶといいでしょう。
不動産担保ローン
不動産を担保にすることで借り入れできるのが、不動産担保ローンです。
戸建てやマンション、土地など幅広く利用できます。
低金利で不動産によっては高額な借り入れも可能です。
住宅ローンが残っていても利用できる上に資金使途に制限もないという点も魅力といえるでしょう。
カードローン
カードローンは、契約金額内であれば何度でも利用できるというのがメリットです。
資金が足りなくなったら借り入れをし、余裕がある月は繰り上げ返済をするなどの柔軟な対応もできます。
金利は借入金額によって異なり、契約当初は借り入れ金額も50~100万円程度となっているので諸条件については事前に確認しておいてください。
クレジットカードのキャッシング
突発的に資金が必要になった際に便利なのが、クレジットカードのキャッシングです。
契約金額内のお金の出し入れが可能というカードローンと同じような特徴を持っています。
ただし、金利が高めに設定されていることが多いのであくまでも突発的な資金調達の場合に利用することをおすすめします。
現金化サービス
現金化サービスとはクレジットカードやキャリア決済の利用枠、後払いアプリの利用枠などを利用して、業者から指定された商品を購入、買取してもらうことで一時的に現金を手に入れる手段です。
あまり知られていない方法ですが、即日対応も可能であることから近年では事業資金の調達手段としても注目されています。
ただしすべての業者がホワイトに営業しているわけではなく、なかには詐欺を図るような悪徳業者もいるため注意が必要です。
※安全に利用できる現金化サービス「即日アリアちゃん」
給付金を受ける
国や地方自治体、一般企業が実施している給付金も資金調達に便利です。
その多くは返済義務がなく、要件を満たせば誰でも受け取ることができます。
その要件は各団体によって異なるので、自身に合ったものを選ぶ必要があるでしょう。
全国各地にさまざまな制度が設けられているので、チェックしてみることをおすすめします。
個人事業主の生活費借入における注目ポイント
続いては、個人事業主が生活費を借り入れる際、特に意識しておきたいポイントを4つ解説します。
金利
まずは金利についてです。
当然低いに越したことはありませんが、数十万円を短期的に借り入れしてすぐに返済できる計画が立てられるようならそこまで心配する必要はないでしょう。
その場合は、金利の高いカードキャッシングで素早い資金調達を優先しても問題ないと考えられます。
調達スピード
その資金を今すぐ必要なのか、半年先でも良いのかによってもどのような調達方法が良いのか変わってきます。
スピード感を求めているのならフリーローンやキャッシング、現金化サービスを利用しましょう。
ただし、これらの方法は金利が高かったり売掛金を持っていることが条件となったりするので、スピードを求めないという場合は金利も低くリスクも少ない生活福祉資金貸付制度や給付金の利用がおすすめです。
借入期間
借入期間が短くすぐに返済できる場合は、キャッシングやカードローンを使うことになるでしょう。
一方で、事業が軌道に乗ったら返済に充てたいという場合は不動産担保ローンやフリーローンといった選択肢が多くなります。
自身の返済計画を見つめ直した上で、どの制度が良いのか検討してみましょう。
必要金額
どの程度の金額が必要かによっても、選択肢は変わってくるはずです。
数十万円程度であればキャッシングやカードローン、数百万円ともなると不動産担保型ローンやフリーローンを選ぶことになるでしょう。
給付金を選んだ場合は、その制度ごとに出資金額が異なるので事前の確認が必要です。
開業時の運転資金おすすめ6つの調達方法
運転資金の調達方法についても解説していきます。
次の6つがその代表的なものといえるでしょう。
日本政策金融公庫
国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫が統合したのが日本政策金融公庫です。
政府系金融機関であり、主に小規模事業者や中小企業への融資を行っています。
無担保無保証でも利用できるので、創業したての方におすすめです。
地方自治体の制度融資
制度融資とは、金融機関・自治体・信用保証協会の3者が連携する融資のことをいいます。
中小企業へのサポートを目的としているので、利用のハードルは低いといえるでしょう。
金利も低く、長期借入も対応している一方で、3つの団体がかかわるため手続きに時間がかかることがデメリットとされています。
助成金・補助金
国や地方自治体から提供される助成金や補助金も利用を検討すべきでしょう。
新規開業者向けや特定の業種向けなど用意されている用途はさまざまです。
その多くは返済不要なので、多くの事業者にとってメリットとなるはず。
ただし、申請手続きに時間がかかるのであらかじめ念頭に置いておきましょう。
クラウドファンディング
ネット上で出資者を募り資金を集めるクラウドファンディングという方法もあります。
上手く活用すれば、プロモーションや事業内容の魅力次第で多くの出資を得ることができるでしょう。
設定金額に到達した場合は、金額ではなくリターンという形で出資者に返すという仕組みです。
到達しなかったらそこまでの金額すら手に入らないので、行う際にはご注意ください。
ファクタリング
期日前の売掛債権を売却することで資金調達するファクタリングも、一時的にどうしても資金が必要な場合にはおすすめです。
あくまでも売掛債権を基とした現金化の手段なので、開業前の事前の資金調達手段としては頼るのが難しいですが、開業直後などで手元に売掛債権があり、急ぎ資金が必要な際はぜひ利用してみてください。
事業資金を一時的に充実させることで生活費に回す資金が浮くとも考えられるでしょう。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、金融機関や消費者金融が提供している融資サービスのことをいいます。
こちらも、すぐに資金が必要という場合に利用が可能です。
審査が優しいという面もメリットといえますが、金利は高めに設定されているので短期での利用が良いでしょう。
開業時に運転資金や生活費に困ったら
さまざまな資金調達先を紹介してきましたが、自身の場合はどこが合っているのか分からないという方はCEOパートナーに相談してみてください。
その理由について以下で解説していきます。
CEOパートナーが正しい調達方法を提案
CEOパートナーでは、開業を目指す方に創業融資の実績を多く持つ税理士を紹介するサービスを行っています。
ご紹介する税理士が、現在の状況や希望を伺い最適な調達方法を提案します。
ご連絡をいただければ24時間以内に条件にマッチした税理士を紹介しているので、急いでいるという方にもおすすめです。
生活費に困らない資金計画をサポート
調達方法だけでなく、開業後の資金計画のサポートも可能です。
事業を進める上で、増えた収入以上の金額を生活費に費やしてしまう場合や、資金繰りの方法が分からずに損をしてしまうということもあるかもしれません。
そうした資金計画についても全面的にサポートするので、あらゆる視点からのアドバイスが受けられるでしょう。
顧問税理士として資金の動きをお任せ
CEOパートナーで紹介する税理士は、開業時に頼るだけでなく、開業が完了してからも引き続き顧問税理士としてあなたの事業活動を全面的にサポートすることが可能です。
必要な資金の動きはすべて一任できるので、事業に集中できるのも高ポイント。
困ったことがあれば何でも相談してみてください。
まとめ
開業時に融資で受けた運転資金は、生活費として使用はできません。
しかし、生活費としての調達方法はいくつか選択肢があるので自身に合った方法を模索してみると良いでしょう。
不安なことや誰かに相談したいということがあれば、CEOパートナーへの連絡をおすすめします。
紹介される税理士には、資金借り入れの際の書類作成もお任せできるので、あらゆる場面であなたの開業をバックアップしてくれる存在になってくれるはずです。
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