開業と聞くと男性のイメージが強いかと思われます。
しかし、近年では女性起業家の方も少なくなく、様々な分野で成功を納めています。
その中でも一人で開業して活動している方も増えてきています。
昨今では、コロナの影響でリモートワークも普及しており、一人でも開業しやすい環境になっています。
女性一人での開業となると不安な点も多いでしょう。
今回は女性起業家の方が抱えやすい不安について事前に対策が出来るよう、成功に近づくポイントやおすすめの業種を合わせて紹介します。
女性一人で開業!個人事業主と法人化の2つの選択肢
一人での開業の場合、様々な選択を自分自身で決定しなければならない場面が多々あるでしょう。
まず一つの選択肢として、個人事業主としての開業と法人としての開業のどちらかを選ぶ必要があります。
どちらにもメリット・デメリットがあり、開業後に業務面でも金銭面でも影響が大きく変わってくるため、自分に合った選択肢を慎重に選ぶ必要があります。
特に女性の場合は結婚後に出産・育児等のライフイベントで思うように仕事に取り組めない時期もあるため、少しでも先を見据えての選択が重要です。
個人事業主の場合と法人の場合とでそれぞれメリット・デメリットを紹介しますので、それぞれ比較してみましょう。
個人事業主の場合:メリットとデメリット
個人事業主は自由で働きやすいというイメージが強いかと思われます。
しかし、個人事業主にも複数のデメリットが存在しています。
メリットとデメリットを比較してみましょう。
個人事業主になるために必要な手続きは、「個人事業の開業・廃業等届出書」(通称:開業届)の提出のみとなります。開業手続きには費用も発生しないため、低リスクで開業が可能です。
個人事業主が自由な印象である理由としてこのメリットが大きいかと思われます。
会社員のように決まった勤務時間もなければ、休日も自分自身で自由に決める事ができます。
PC作業が主であれば、出社の必要もないので時間を有効活用することができます。
開業届の提出時に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、確定申告を節税効果の高い青色で行うことが可能です。
提出は原則、開業日から二か月以内のため注意が必要です。
毎月定められた給料や残業代、ボーナスが主な収入となる会社員とは違い、個人事業主の場合は自分の成果が直接収入に反映されます。
数多くの仕事を受注出来たり、高度な技術を要する高単価のお仕事を受けられれば次の依頼にも繋がり、安定した収入も得やすくなるでしょう。
会社員の場合は健康保険・介護保険・年金保険は会社が半分負担してくれます。
しかし、個人事業主の場合は全額自己負担となりますので社会保険料の負担が大きくなります。
メリット④で紹介したとおり、自分の頑張り次第で収入を増やせるのは事実ではありますが、その一方で上手く仕事が取れず、収入が少ない月もあるでしょう。
努力次第で必ず収入が増やせるとは限りません。
会社員の場合、会社側で納税の手続きを進められているので自身で税金に関する手続きを行うことはほとんどありません。しかし、個人事業主の場合は一年間の売上や経費等を計算して確定申告を行う必要があります。
確定申告は一人で行うには準備も時間もかかります。税理士に頼る手もありますがその分費用がかかってしまいます。
法人の場合:メリットとデメリット
法人の場合は個人事業主と比べて手続きが難しく、開業までのハードルが高いイメージが強いかと思われます。
しかし、法人での開業にも個人事業主とは違った魅力的なメリットもありますのでデメリットと併せて紹介します!
会社の場合、事業年度に得た課税所得に一定の税率を乗じて計算する「法人税」が適用されます。そのため、法人の方が所得が増える程に負担する税率を抑えられます。
また、個人事業主と比べると経費に出来る範囲が大幅に広がるため会議費や接待費も飲食代として経費に回す事が出来ます。
会社を設立して法人化するには、法務局への登記申請が必須となっています。法人登記は会社の商号(社名)や、代表者名、資本金、事業目的等を指し、登記が完了すると会社の情報が一般公開されて誰でも情報を見ることが出来るようになります。
すぐに詳細が確認出来る企業と、情報が少ない企業では社会的な信頼を得るという点では大きな差となります。
株式会社を設立する場合には新株を発行して出資を募る事も可能のため、個人事業主よりも資金調達の方法が増えます。
また金融機関の審査においても、個人事業主より有利になることがあります。
法人は一般的に月次で会計処理を行うため、財務状況をリアルタイムに把握することが可能で財務状況の管理も厳正で透明性が高いと考えられるからです。
個人事業主の場合、開業に関して運転資金以外に特別な費用は発生しません。しかし、会社の場合は設立手続きに伴う費用や資本金等が必要になります。
設立手続きにかかる費用は株式会社と合同会社で異なります。
■株式会社の場合:約24万円程度
■合同会社の場合:6~10万円程度
また、資本金は1円からでも会社の設立は可能ですが、初期費用や運転費用は資本金から捻出するため、会社の設立の前にある程度の蓄えをしておくことも重要です。
個人事業主の場合、事業で得たお金は収入として自由に使う事が出来ますが、法人の場合、会社と個人の財産の明確な区別と管理が必要なため、経営者であっても役員報酬以上のお金を個人的な用途で使う際には、会社からお金を借りる形となります。
必要な手続きをせずに勝手に会社のお金に手を出してしまった場合は横領となりますので、罪に問われてしまいます。
法人の会計処理は厳密な複式簿記のルールに伴って行われるため、税金の申告手続きは個人事業主よりも複雑になります。法人税の申告や決算、年末調整については税理士に依頼することが一般的です。
決算は難易度が高く、法人税の申告や決算が誤っていた場合にペナルティとして追微課税されてしまいます。そのため、税理士等の専門家を雇う検討も重要です。
女性起業家必見!一人でも始めやすい業種5選
女性が一人で経営出来る仕事となると肉体的な面でも業種が限られてしまいます。
そこで、女性一人で始めやすい業種の中でも特にオススメのものをピックアップして紹介します。
Webデザイナー
Webデザインの仕事はITの普及に伴って着実に需要が高まっています。
パソコンが一台あれば開業可能で、家でも外でも作業出来るため子育て等で私生活が忙しい女性の方でも取り組む事が出来ます。
資格が必要な業種でもないので、名乗るまでが難しいという事もありません。
しかし、安定して仕事が取れて生計が立てられるか、という点では話は異なります。
未経験から始める場合は以下のように様々なスキルを学ぶ必要があります。
・基本的なデザイン原理
・HTMLやCSSなどのコーティングスキル
※Web上のデザインを専門的に制作するデザイナーの場合、上記のスキルは不要です
・Webサイト制作・管理ツールの知識
・WordPressの知識・スキル
これらのスキルは独学で学ぶことも可能です。しかし、知識や技術の習得に時間を要するため、開業に至るまでに時間がかかってしまいます。短期で集中して開業するために、働きながらスクールに通うのも一つの手です。
心理カウンセラー
心理カウンセラーは悩みや不安を抱える人達の相談を心理学の知識や臨床経験を用いて、クライアントのストレスの緩和やサポートをする仕事です。ストレス社会の昨今、需要が高まりつつある業種となります。
心理カウンセラーに関しても、資格無しで名乗ることは可能です。
しかし、資格を持っていないカウンセラーに相談しようと思うクライアントは多くはありません。
相談者の信頼を得るためにも、資格取得は欠かせないでしょう。
カウンセラー関連の資格には、国家資格と民間資格を合わせるといくつもの種類があります。
国家資格に関しては公認心理士、国家資格ではないものの認知度が高い臨床心理士等様々です。
クリエイター
クリエイターと一口に言っても、様々な業種があります。先程紹介したWebデザイナーに関してもその一つです。
個人事業主として開業しやすいクリエイターの業種を一部ご紹介します!
・動画クリエイター
・イラストレーター
・グラフィックデザイナー
・Webライター
・フォトグラファー
クリエイターに関しては、自分の趣味や特技を活かせる業種が多くあります。自分の特技を伸ばして「好き」を「仕事」にしましょう!
ハンドメイド作家・販売
ハンドメイド作家もクリエイターの業種の一つです。ハンドメイド作家が販売している主な商品としては以下が挙げられます。
・アクセサリー
・バッグ・財布・小物
・洋服
上記のような様々な種類の中から、自分の販売する商品とコンセプトを決めて需要のある商品を作り出し続ける必要があります。
近年ではアプリやサイトでの販売も可能になっており、その場合は客に商品を送る際に使用する梱包材や緩衝材等の準備も別途必要になります。
ネイルサロンオーナー
ネイルサロンの開業に関しても、特に資格は必要ありません。しかし、資格を取っておくことで知識や技術の証明が出来るのでお客様との信頼にも繋がります。
また、ネイルに関する知識や、お客様の要望を汲み取るコミュニケーションスキルも重要になります。
ネイルサロンの開業には店舗型と自宅型の二つがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
自宅型 | ・初期費用、運用経費が大幅に抑えられる ・通勤時間等がない為、時間を有効活用出来る。 | ・生活感が出てしまう ・賃貸の場合、開業不可である場合がある。 ・立地が悪いと集客が見込めない ・自分自身でトラブル対応が必要 |
店舗型 | ・集客が見込めそうな立地を狙って開業出来る ・公私のメリハリをつけられる | ・初期費用や、運用経費が大きな負担となる |
上記を参考に、自宅環境や金銭面を考慮して開業場所を選択することが重要です。
女性が一人で開業するまでの4ステップ
いざ開業しよう!と決めても開業まで手続きの流れがわかっていないことには何も始められません。
こちらでは開業までの流れと注意点について、4ステップに分けて解説していきます。
自分の強みを活かせる業種を選択する
「自分のやりたいこと」と「自分の強み」は異なります。
自分のやりたいことであっても強みを活かせないと、業績が上手く上がらず事業に失敗してしまった!なんてことにもなりかねません。また、それが世間にとって需要のあることかどうかも重要になります。
例えば、動画配信者は個人事業主としても活動してる方も多く、最近需要が高まりつつある業種として挙げられます。
「配信を見るのが好きだからやってみたい」と思っても、動画配信には人を惹きつけるトーク力や日々移り変わる流行への柔軟な対応力が求められます。
一定の視聴者を継続的に得られなければ生計を立てるのは難しい業種のため、自分の強みと需要を見極めた上で適切な業種を選ぶことが成功への鍵となります。
とはいえ、自分の強みを最大限に活かし、需要に合った分野で挑戦すれば成功も夢ではありません。
新しいことにチャレンジする際には、自分を信じて積極的に行動することが大切です。
失敗を恐れず、一歩一歩前進していきましょう!
事業計画書を作成・必要書類の準備をする
業種の選択後、事業の大方のコンセプトが固まったら事業計画書を作成しましょう!
事業計画書とは、開業の動機、事業の内容や目的、事業の見通し等を記載する計画書です。
事業に必要な資金とその調達方法についても記載するため、補助金や融資を受ける際にも重要となる書類です。
また、開業届等開業の際に必要な書類や手続きも予め準備しておきましょう。
個人事業主の場合 | 法人の場合 | |
---|---|---|
開業に必要な書類 | ・開業届 ・青色申告承認申請書 | ・法人設立登記 ・給与支払事務所等の開設届出書 →会社が従業員や役員に支払う事務所を開設したことを届け出る書類で、自身に役員報酬を支払う場合は一人社長でも提出は必要です。 |
その他必要な手続き | ・国民年金・国民健康保険に切り替える ・許認可申請 ※業種により必要 | ・法人用の実印の作成 ・定款の作成 →定款:会社の目的や事業内容等、基礎情報について規定した書類のこと ・公証役場での定款の認証 |
予め開業に必要な資金を計算・調達しておく
事業計画書の作成が出来たら、開業に必要な資金の調達に動きましょう!
開業の準備にかかる費用は業種によって異なるため、事業計画を立てる際にコストと売上を予測して必要な資金を調達するようにしましょう。
資金調達の際、融資や補助金等を受けるのも一つの手です。
しかし、融資の場合は必ず返済が必要になるため期限内の返済が見込めるか、予め調査した上で活用するようにしましょう。
税務署にて開業手続きを行う
必要書類の準備や資金調達が完了したら、税務署で手続きを行いましょう。
開業届の提出は税務署で直接行う方法の他、郵送、オンラインでも対応可能です。
オンラインの場合、e-taxを通してパソコンでの入力が必要となります。
郵送の場合は必要な書類をまとめて送付しましょう。
女性一人でも成功する5つのポイント
女性一人での開業の場合、相談出来る環境等がなく自分の判断だけで進めて失敗してしまった、という事態にもなりかねません。
そのような失敗をしないためにも、女性一人でも開業に成功するポイントを5つに分けて解説します。
やりたい事、目標を明確にする
まず一つ目のポイントとして、自分のやりたい事の明確化が挙げられます。
やりたいことや目標が複数あるのは素晴らしいことではありますが、「あれもこれも」となってしまうと目的がぶれてしまい、どの目標も未達成ということになってしまいかねません。
どの事業も軌道に乗せるまでは地道な努力が必要なものです。これだけは外せないと考えられる一つの目標を定めて、まずはその目標を達成出来るように取り組みましょう!
女性視点でのビジネスを考えてみる
女性一人での開業の場合、女性の興味・関心を引きやすい分野でのビジネスを考えてみるのもオススメです。
女性の興味を引きやすい分野としては以下が挙げられます。
- 恋愛、結婚
- 美容、メイク
- ファッション
- 健康、ダイエット
- 出産、子育て
上記の分野で考えられる、悩みや不安に寄り添ったビジネスを考えてみるのもよいでしょう。
日常の中での「困った」「不便」「面倒」といった感情や経験から新たなサービスが生まれることも珍しくありません。日々の生活の些細な出来事にも思考を張り巡らせることを意識してみましょう!
セミナー等に積極的に参加して人脈を広げる
インターネットでの情報収集はもちろん重要ですが、実際に他の起業家の方に会ってお話を聴く事も大切です。
起業家向けのセミナーは定期的に行われています。
セミナーの内容は様々ですが、自分のやりたい業種の内容をメインとしたセミナーが行われる場合もありますので定期的にチェックしましょう。
近年では、オンラインで行われるセミナーも珍しくありません。
積極的に参加して、同業種はもちろん他業種の起業家の方とも人脈を広げて行きましょう。
様々な知識が得られるだけでなく、開業後のお仕事の依頼に繋がるかもしれません。
女性起業家が知っておくべき資金調達の手段4選
業種内容にもよりますが、開業を目標とする多くの方にとって課題となるのが資金調達でしょう。
特に店舗を構える場合には開業費だけでなく家賃や光熱費等がランニングコストとしてかかってしまいますので、多くの資本金が必要となります。
今回は女性起業家にオススメする資金調達の手段として4つをピックアップして紹介します。
- ①日本政策金融公庫の「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」
融資審査で評価が低くなりがちになる女性、若者、シニアの起業家(女性層、35歳未満の若者層、55歳以上のシニア層)を対象として融資等の支援を行う制度です。
新規開業して概ね7年以内の方を対象とし融資限度額は7200万円(うち運転資金4800万円)となっています。- ②補助金を活用する
補助金とは行政が中小企業の活性化のために支給するお金のことを指します。
具体的には国の政策目標に沿った事業を行う個人事業主や法人などにお金を支給する制度で、返済の必要もないため資金の少ないスモールビジネスの事業者にとって心強いサポートとなります。
条件を満たしていても、応募者が多数である場合や事業計画の内容によっては審査落ちするケースも珍しくなく、助成金よりも受給までのハードルが高いです。補助金にも様々な種類があり、補助金額や補助対象もそれぞれ異なります。
女性起業家におすすめの補助金として、以下が挙げられます。・小規模事業者持続化補助金
働き方改革や賃上げ等、小規模事業者が解決すべき課題に取り組むときの費用を支援してくれる補助金です。
・ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援してくれる補助金です。
・IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツール導入の際に利用出来る補助金です。
通常枠と、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠が用意されています。- ③助成金を活用する
助成金とは、国や地方自治体が事業者の労働環境改善や雇用対策を目的として支給されるお金で厚生労働省が管轄しているものを指します。
助成金ごとに定められている受給条件を満たすことでほぼ支給されることから、比較的受給難易度が低いという特徴があります。
女性起業家に特におすすめの助成金として「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」が挙げられます。
「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、都内の商店街の活性化を目的として東京都が運営している助成金です。
商店街での開業・事業の多角化を対象としています。- ④クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットを通して自身のビジネスを紹介し不特定多数の支援者から資金を集める方法です。
上手に活用出来れば開業前から応援してくれるファンを増やすことができ、サービスの認知度向上にも繋がります。
しかし、支援者が利用したいと思えるようなサービスを考えたり、魅力を最大限に伝えられるようなプレゼン力も重要です。
CEOパートナーに相談する
近年ではインターネットの普及で気軽に様々な情報を調べることが出来るようなりました。
しかし、ネットから得た情報だけで開業手続きを進めるのは注意が必要です。
細かい疑問や不安について解消しづらい状況もあるかもしれません。
経理や資金繰り等細かい不安についてはCEOパートナーへ相談してみましょう!
CEOパートナーはこれから起業を考える方へ向けて、主に以下のサポートを行っています。
- 融資を受ける銀行の選出
- 審査通過のノウハウ
- 必要書類の準備
- 面接対策等
対応している業種に限りはなく、どのような業種にも対応しています!
相談料は無料で、税金や経営の相談が出来る税理士が複数登録しています!
これから起業を考えている方は是非活用しましょう!
まとめ
今回は、女性が一人で開業する際にオススメの業種と開業に向けてのポイントについてまとめてみました!
女性一人での開業となると、やらなければならないことが多かったりして、不安や疑問も絶えないでしょう。
今回の記事が業種選びの参考や、少しでも開業時の手助けになれば幸いです。
資金調達等に細かい不安がある場合は、記事内で紹介したCEOパートナーの利用を是非ご検討ください。
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