※新創業融資制度は2024年3月31日をもって終了しました。
会社設立を検討している人の多くは「資本金」について考えると思われます。
いくらなければいけないのか、いくらあるといいのか。
実際にやってみないとわからないことばかりです。
2006年に会社法が改正され資本金がたった1円でも会社設立できるようになりました。
ですが資本金が1円の会社は何だか不安、という声があるのも事実です。
資本金は100万~1000万円は用意した方がいいでしょう。
さてそんな資本金に付随してよく耳にするのが「資本準備金」です。
資本金とはどう違うのか。用意した方がいいのか。
本記事ではそんな疑問で溢れる「資本準備金」について詳しくご紹介したいと思います。
会社設立にかかる費用やその資金調達の方法についてもご紹介するので気になる方はぜひご覧ください!
関連記事:専門家に任せれば会社設立は簡単に!5分でわかる会社設立の全て
資本準備金とは一体何なのか
資本金とは簡単に言ってしまうと会社設立時に会社が保持しているお金のことです。
会社で保持しているお金があまりにも少ないと社会的信頼を得られにくいです。
そう言った理由で会社設立時の資本金は100万円~1000万円をおすすめしています。
では「資本準備金」とは一体何なのでしょうか。早速ご説明していきます。
資本準備金とは
会社法第445条第2項では「株主から集められた資金は任意で2分の1を超えないことを条件に資本金として計上しないこと」が認められています。
そしてこの計上されなかったお金が資本準備金です。
例えば1000万円の資本金がある場合、最大で500万円は資本金として計上しなくていいことになります。
この資本準備金は節税や赤字が出てしまった時の補填に使えるので用意しておくと安心です。
資本金と資本準備金の違いを解説
資本金と資本準備金の目的や取り崩す時の違いを以下の表にまとめました。
(取り崩す=企業が資本金を減額する手続きのこと)
資本金 | 資本準備金 | |
目的 | 会社財産や経営の指標 | 万が一のための備え |
取り崩す時 | 株主総会の特別決議が必要 登記簿に履歴が残る | 株主総会の普通決議が必要 登記簿に履歴は残らない |
資本金と資本準備金は株主から払い込みを受けた金額であることに変わりありません。
しかし、資本金は登記簿に記載されますが資本準備金は登記簿に記載されません。
また、資本金は会社の大きさを対外的に表すものです。
それに対し、資本準備金は将来の多額の支出や損失の発生といった万が一のための備えです。
そこが資本金と資本準備金の大きな違いです。
資本準備金を用意する3つのメリット
会社設立において資本金は会社の大きさを対外的に表すもので、事業を行うための元手となる資金です。
資本金がないと会社設立は難しいと言えます。
その大事な資本金の2分の1ではありますが額を減らすのが資本準備金です。
そんな資本準備金を用意する意味はあるのでしょうか。
あるんです!
本章では資本準備金を用意する3つのメリットをご紹介します。
メリット① 税制上の優遇措置が可能
資本金が1000万円を超えていると会社設立した初年度から消費税の納税義務が生じます。
資本金が1000万以下だった場合は設立初年度及び設立2年度の消費税の納税義務は免除されます。
設立後に支払う法人税も資本金によって決められます。
資本金は多い方がいいけれど、少ない方が税制上の優遇措置を受け取れるということです。
資本金を1000万円以下にして、残りを資本準備金とすることで節税に繋がります。
関連記事:会社設立経験者が教える!サラリーマンが会社設立する5つのメリット
メリット② 赤字の補填が可能
資本準備金は万が一のための備えと言いましたが、もし会社設立後に赤字が出てしまっても資本準備金があれば補填する事が可能です。
例えば1000万円の資本金で会社設立したとします。
設立1年目で300万円の赤字を出してしまった場合、資本金を減資しなければいけません。
この場合資本金は700万円になってしまいます。
しかし、1000万円の内500万円を資本金、残りの500万円を資本準備金にしたとします。
資本準備金があれば赤字が発生しても取り崩すことで資本金を減資する必要はありません。
減資すると投資されにくくなったり、金融機関での融資が受けにくくなるなどのデメリットがあります。
なので可能な限り減資の可能性を防ぐ資本準備金を用意することをおすすめします。
メリット③ 資本金の増資が行いやすい
事業の拡大に合わせて資本金を増やしたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
会社法によると増資には資本金の払い込みを受けるか、資本準備金を振り返るかになります。
資本金の払い込みは新たな出資者や出資額を募る必要があるため、必ず集まるとは限りません。
しかし、資本準備金があればそれを振り返るだけで簡単に確実に増資が可能です。
資本金の増資が行いやすい点も資本準備金を用意するメリットと言えます。
資本準備金の3つの注意点
メリットがあるということはデメリットもあるということです。
本章では資本準備金の3つの注意点をご紹介します。
資本準備金を用意する前に注意点も把握しておきましょう。
事業の種類によって許認可が必要
中には許認可が無ければ会社設立できない事業があります。
例えば旅行業は3000万円以上、建設業は500万円以上の資本金がボーダーラインとなります。
資本金は審査の基準にもなるのでそれを下回ってしまうと許認可が降りない可能性が高いです。
なので自身が設立したい事業が許認可制かどうか確認する必要があります。
もし許認可制の事業であればその額を把握し、資本準備金の額を多くしすぎないようにしましょう。
規模が小さいと判断されやすい
経営者は登記簿などに記載されている資本金が資本準備金を除いた金額だと把握しています。
しかし、第三者はそうではありません。
実際に払い込まれた金額として認識されるのは資本金のみのことが多くあります。
そのため、資本準備金として計上された金額があると会社の規模が小さいと判断されやすいです。
資本準備金を用意し過ぎると資本金が減ってしまいますので社会的信頼を得られる程度の資本準備金にする必要があります。
資本準備金の増減には手続きが必要
資本準備金のメリットで赤字が出た時は資本準備金を取り崩すことで補填ができると説明しました。
しかしこの取り崩しには手続きが必要です。
資本準備金の減額には2つの手順を踏みます。
まず株主総会の普通決議をします。
普通決議は議決権の2分の1を保有する株主が株主総会に出席し、出席した株主の議決権の2分の1を超える賛成が求められます。
資本金を減額する際はもっと厳しい決議となるので要件としては緩くなっています。
そして決議が採択され資本準備金を減額する場合は債権者保護の手続きをします。
資本準備金を減少させることにつき、官報での公告に加えて個別に債権者に通知する必要があるからです。
これらを経て資本準備金の減額ができます。
なお、取崩した資本準備金を全額資本金に組入れる場合には株主にとって不利益はないので債権者保護の手続きは不要です。
増額は2つの方法があります。
1つ目は資本金を減額して資本準備金を増額させる方法です。
前述の通り資本金の減額には特別決議が必須となります。
特別決議は議決権2分の1を有する株主が株主総会に出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得なければいけません。
普通決議に比べると要件は厳しいものになります。
2つ目は資本剰余金から組み入れる方法です。
資本剰余金とは資本金や資本準備金とはやや性質が異なるもので、資本取引から生じた余りの金額のことをいいます。
この資本剰余金からの組み入れは減額の時と同じく普通決議で採択される必要があります。
このように資本準備金の増減には手続きが必要となるので予め理解しておきましょう。
会社設立にかかる費用を大公開!
では実際に会社設立にはいくらかかるのでしょうか。
本章では会社設立にかかる費用やその資金調達方法についてご紹介していきます。
会社設立する上での平均資金調達額は1274万円
株式会社を設立する際最低でも22万~25万円はかかります。
会社設立には手続きが必要でその手続きには費用がかかるのです。
それに加えて事務所などのレンタル費や机やパソコンといった設備費も必要になります。
広告宣伝費も加わると会社設立にはある程度の資金が必要になります。2022年度の新規開業実態調査では開業時の平均資金調達額は1274万円でした。
もちろん費用をあまりかけずに会社を設立された方はいらっしゃいます。
業種によっても必要となる資金は異なりますので事前に把握しておきましょう。
関連記事:会社設立を格安にする裏技!設立費用はみんな100%一緒じゃない!
大多数は金融機関で融資を受けている
ではそんな多額のお金をどうやって調達しているのかというと金融機関からの融資になります。
日本政策金融公庫であれば無担保無保証で融資を受けれる新創業融資制度があります。
最大で7200万円の融資を受けれる新規開業資金などもあります。
日本政策金融公庫だけでなくその他の金融機関でも融資を受けることが可能です。
各金融機関の特徴をまとめている記事があるので参考にしてください。
関連記事:会社設立の借入は誰にだってできる!4つの金融機関を徹底解説
融資の相談ならプロの専門家に!
融資とはいっても書類作成や面談など審査が厳しくなかなか難しいと思っている方がほとんどだと思います。
実際に全員が全員審査に通過するわけではありません。
しかしプロの専門家に頼ることで融資を受けれる可能性が格段に上がります。
税理士に頼れば書類の作成から面談のノウハウまで完全サポートしてくれます。
CEOパートナーであれば融資に強い税理士とマッチングしてくれます。
融資が降りるまで完全無料なのも大きな魅力です。
会社を設立する上で資金調達に頭を悩ませているのであればまずは無料で相談してみることをおすすめします。
まとめ
「資本準備金」についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
資本準備金は必ずしもなくてはならない、というわけではありません。
資本準備金を用意するしないは自由です。
ただ備えあれば患いなしとも言います。資本準備金は万が一のための備えです。
会社設立は自身で道を切り拓くことと同等です。その切り拓いた道の先に何があるかなんて誰にも分りません。
何かがあった時の為にも資本準備金を用意しておくと安心して設立することができるでしょう。
皆さんの切り拓いた道の先を成功に繋げるためにも私は資本準備金を用意することをおすすめします。
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