会社設立後には登記簿謄本の取得や、融資の手続きなど様々な手続きが必要になります。
設立後に必要な手続きの1つに健康保険の手続きがあります。
健康保険の手続きは、会社設立後5日以内に行わなければならないなど期限が設けられています。
期限を過ぎても加入しないでいると最悪の場合、罰則を受けることもあります。
健康保険は医療面での控除が受けられたりと加入する側にも大きなメリットを受けられる大切な保険です。
今回はそんな健康保険について「一体どんな保険なの?」「いつまでにどんな手続きをしなければならないの?」など気になる疑問を解決していきます。
関連記事:会社設立はゴールじゃない!その後にやるべき7つのことを徹底解説
健康保険の3つの掟
健康保険は、病気や怪我、出産や死亡といった事態に備える公的な医療保険制度です。
健康保険には3つの掟があります。
これから解説していきますので、1つずつ確認していきましょう!
全国民が加入しなければならない
日本では、「国民皆保険制度」を採用しています。
「国民皆保険制度」は、国民の誰もが、いつでも、またどこでも、必要な時に必要な治療を受けることができるようにするために設けられた制度です。
日本ではすべての国民が公的医療保険に加入することになっています。
公的医療保険は以下の5つです。
保険 | 管轄 | 対象 |
国民健康保険 | 市町村 | 自営業者、年金受給者など |
健康保険 | 全国健康保険協会 各種健康保険組合 | 企業の従業者や日雇労働者 民間企業などに勤める人とその家族など |
共済組合 | 各種共済組合 | 国家・地方公務員や私学教職員など |
船員保険 | 全国健康保険協会 | 船舶の船員など |
後期高齢者医療制度 | 後期高齢者医療広域連合 | 75歳以上の人および 65歳~74歳で一定の障害の状態にある人 |
民間の生命保険や医療機関に加入していたとしても、必ず上記公的医療保険への加入が必要です。
健康保険料を納めなければならない
全国民に加入義務のある健康保険ですが保険料は無料ではありません。
加入する保険によって異なりますが、保険料を納めなければなりません。
ここでは、会社を設立した際に加入する健康保険について解説します。
健康保険料は被保険者(保険がかけられている者)である従業員と会社が半々で負担し合っています。
健康保険料の金額は標準報酬月額によって異なります。
標準報酬月額とは、報酬月額(基本給に時間外手当や通勤手当などを加えた1ヵ月の総支給額)を保険料額表にあてはめ、1~50の等級に分けたものを指します。
出張手当や年3回までの賞与など、臨時に支給されたものは報酬月額に加算されません。
全国健康保険協会か、それとも健康保険組合に加入しているかによっても異なりますが、住んでいる地域によっても異なりますので注意が必要です。
参考:都道府県毎の保険料額表|全国健康保険協会
会社設立後5日以内に加入しなければならない
会社を設立したときは、たとえ社長一人だけの従業員が一人もいない会社の場合であっても、設立から5日以内に社会保険(健康保険)の手続きが必要になります。
5日を過ぎると、行政からペナルティを受けたり保険料の精算処理が必要になる場合があります。会社設立後は他の手続きで忙しいと思いますが、期日は過ぎないように気を付けましょう!
健康保険加入手続き
それでは健康保険加入手続きはどのように進めるのかこれから解説していきます!
5日以内に年金事務所へ届出
会社設立後5日以内に会社の所在地を管轄する年金事業所へ必要書類を持参するか郵送して提出します。
提出期限日が土日祝日である場合には、その翌営業日が期限になります。
管轄の年金事業所が分からない場合は、日本年金機構の健康保険 適用事業所検索システムを使って調べることができます。
健康保険加入書類のダウンロードはこちら!
1⃣健康保険・厚生年金保険新規適用届
事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき 事業所が健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合に提出する届出です。2⃣健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
この届書は 「従業員を採用した場合」、「60歳以上の方で退職後に継続して再雇用した場合」 、「他事業所での共済組合員を喪失したことにより健康保険の徴収・給付を開始する場合」 にご提出いただくものです。3⃣被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
この届書は、『健康保険被扶養者(異動)届』と『国民年金第3号被保険者関係届』が一体化した様式となり、「被扶養者になった場合」、「被扶養者でなくなった場合」、「被扶養者情報を変更する場合」にご提出いただくものです。
他に会社の登記簿謄本の原本(提出日の90日以内に発行されたもの)の添付が必要です。
会社の場所が登記した場所と異なる場合は、会社の所在地を確認できる賃貸借契約書のコピーや公共料金の領収書などの書類も必要になります。
健康保険3つの種類
健康保険には3つの種類が存在します。
加入する健康保険は職業や年齢によって異なります。
また、加入する健康保険によって保険料も異なりますので注意が必要です。
それでは、詳しく見ていきましょう!
自営業やフリーランスが加入する「国民健康保険」
国民健康保険は、市町村が運営する健康保険制度です。
フリーランスや自営業などの、他の健康保険に加入していない人を対象としています。
会社の健康保険に加入できない人が加入する保険と覚えておきましょう!
国民健康保険は、市町村が主に運営しています。
市町村以外に医師や建設業などの同業者で組織する国民健康保険組合(国保組合)も存在します。
ちなみに国保組合は、国からの補助を受けて運営しています。
そのため、国民健康保険よりも保険料を比較的安く抑えられるのが特徴です。
公務員が加入する「被用者保険」
被用者保険とは、国や地方公共団体、法人などに雇われる従業員やその扶養家族が加入する健康保険のことを指します。
つまり雇用契約に基づいて労働者が加入する保険です。
被用者保険のなかにもいくつかの種類があります。
大きく分けて以下4種類が被用者保険にあたります。
被用者保険の種類 | 内容 |
組合管掌健康保険(健保組合) | 主に大企業や同種・同業種の企業が集まって組織された健康保険 |
全国健康保険協会(協会けんぽ) | 主に中小企業の従業員とその扶養家族を対象とした健康保険 |
共済組合 | 国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員を対象とした健康保険 |
船員保険 | 船員を対象とした健康保険 |
高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」
「国民健康保険制度」は、会社の保険に加入している方(扶養家族含む)や生活保護を受けている方を除いた年齢が74歳以下のすべての方が加入する医療制度です。
対して「後期高齢者医療制度」は、年齢が75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)のすべての方が加入する医療制度です。
「後期高齢者医療制度」の保険料は都道府県単位で保険料率が決まっており、被保険者一人ひとりに支払いが発生するのが特徴です。
悪質な未加入者への罰則
悪質な未加入者へは罰則があります。罰則を受けると会社の大きな傷にもなりかねませんので、罰則を受ける前に必ず加入するようにしましょう!
6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
社会保険の加入対象にも関わらず虚偽の申告をしていたり、複数回にわたる加入指導に従わなかったりした場合、6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が課される恐れがあります。
詳しくは健康保険法第208条をご確認ください!
過去2年間に遡及して保険料を徴収
厚生労働省(日本年金機構)の立ち入り検査が行われ、社会保険の未加が発覚した場合は、年金事務所などにより強制的に加入手続きを取られる場合があります。
その場合、過去2年間に遡って未納分の社会保険料を徴取される恐れがあります。
社会保険料は給与だけでなく賞与からも徴収します。
一度に一括で請求されることで、事業を圧迫してしまうことにもなりかねますので気をつけましょう!
従業員負担分の保険料も企業が支払う可能性がある
社会保険料は会社と従業員で半分ずつ支払います。
未加入分を過去2年間に遡及したときも同様です。
しかし、既に退職した従業員の分などは回収が困難です。
その際は、従業員負担分の社会保険料も企業が全額立て替えて支払わなくてはいけません。
後日、従業員分を請求することは可能ですが、請求できなかった場合は会社が責任をもって支払わなければなりません。
延滞金の発生
納付期日を過ぎてしまった場合、督促状が届きます。
さらに督促状に指定された期日までに支払いができなかった場合は、延滞金が発生します。
遅延金額は規定の割合により計算されます。
未納額によっては高額な延滞金が発生する場合があります。
ハローワークに求人を出せない
社会保険加入対象事業者が未加入の場合は、ハローワークへ求人を募集することができません。ブラック企業と判断する材料にもなりかねませんので、未加入の場合は速やかに加入するようにしましょう。
まとめ
会社設立後5日以内に加入しなければならない健康保険。
健康保険には複数の種類があることを紹介してきました。
会社を設立した方が加入しなければならない保険は、一般的には「国民健康保険」か「健康保険」です!5日以内に加入できない場合は、行政からペナルティーを受ける場合があるので必ず加入するようにしてくださいね!
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コメント
コメント一覧 (6件)
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