皆さん旅行は好きですか?
私は旅行がとても好きなので行く予定がないときでもプランを考えたりしています。
そんな時ふと思ったのが、「私なんかでも旅行会社を設立することができるのか」という素朴な疑問でした。
旅行会社を設立する、というのはなんだか総代に聞こえてきて一見難しいように思えますが条件さえ揃っていれば私でも旅行会社を設立することが可能なのです。
そこで本記事では旅行会社を設立したいと思った方に向けて旅行会社を設立する方法や必要な資格についてご紹介していきます。
記事の最後にはよくある失敗とその回避策についてもご紹介していますので少しでも気になった方はぜひ最後まで読んでみてください!
旅行会社設立の流れ
早速、旅行会社を設立するまでの手順を解説します。
ぜひ参考にしてください。
ビジネスコンセプトの明確化
まずはどのようなコンセプトの旅行会社にするか決めなければなりません。
国内旅行か海外旅行かというだけではなく、さらに限定的な地域を対象とした旅行会社でもよいでしょう。
また、女性やシニアに特化するなどターゲットを絞ってビジネスを立ち上げるという方法もあります。
コンセプトを定めることで今後の事業計画に役立ちます。
市場調査と分析
どんな旅行会社が求められるかを知るためには、市場調査が欠かせません。
例えば大学生が多い地域にシニア向けの旅行会社を立てたとしてもそれは本当に需要があるのでしょうか。
顧客とその顧客のニーズが嚙み合っていないと意味がありません。
市場調査をすることで、ニーズや有効なターゲットが浮かび上がってきます。
すると、どのような施策を打てばよいのかという戦略も立てやすくなるでしょう。
事業計画書の作成
ビジネスの形が見えてきたら、事業計画書の作成に移りましょう。
融資を受ける際に必要な書類になるほか、これから立ち上げようとする事業の方向性を示してくれる資料になります。
事業開始後に意思決定をする際の軸にもなるので、なるべく丁寧に作成することが重要です。
登記申請などの事務的な手続き
事務的な手続きも忘れてはいけません。
定款の作成や認証、法務局での会社設立の登記申請、さらに税務署への届出などを行う必要があります。
事業開始が近づくにつれて忙しくなるので、なるべく早めに済ませておきましょう。
会社設立に欠かせない資金調達
会社を設立するにはある程度の資金が必要です。
その資金調達方法も検討しておきましょう。
自己資金で賄えるのか、銀行に融資を求めるのかそれとも補助金を申請するのかなど方法はいくつもあります。
迷った場合は、CEOパートナーに相談してみてください。
創業融資に強い税理士を紹介するサービスを行っているので、おすすめの資金調達方法を提案してくれるでしょう。
設立にかかる大まかな費用
続いては、会社設立にかかる費用についてです。
旅行会社を立ち上げるにあたっていくらほどの費用がかかるのでしょうか。
大まかな概要をご説明していきます。
初期投資の概算
会社を設立するにあたり、備品費や通信費などは当然必要経費としてかかります。
しかし、旅行会社を立ち上げるならそれ以外にも考えなければならない費用があるのです。
それが旅行業登録の費用です。
旅行会社を設立すると旅行業登録をするのですが、その際に登録行政庁に支払う登録免許税・申請手数料というものが発生します。
第1種旅行業の場合は90,000円の登録免許税が必要になります。
また、登録行政庁が東京都の場合、第2種・第3種・地域限定旅行業の登録免許税は90,000円となり、旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録免許税は15,000円となります。
3章の方でより詳しく資格やその費用について説明しますが、第一種旅行業で会社を設立するとなると数千万円は必要になります。
運転資金の見積もり
さらに、開業後の運転資金も計算に入れておく必要があります。
運転資金とは、家賃や通信費、人件費といった開業後にかかる費用を賄うためのお金です。
事業を開始しても、実際に売上が入ってくるのは数か月後になるでしょう。
その間も発生し続ける費用を支払うために、ある程度の見積もりをしておかなくてはなりません。
3~6か月分の運転資金を用意しておくと安心です。
旅行会社設立に必要な免許等
続いては、旅行会社を立ち上げるために必要な免許について解説します。
旅行会社は資格や保険によって必要になる費用が異なります。
その費用に関しても本章で説明していくので参考にしてください。
旅行業登録申請
旅行業とひと口に言ってもいくつか種類があります。
それぞれの免許によって、扱える旅行先が決まるので自身の希望や条件と照らし合わせてみましょう。
また、旅行会社の設立には資本金とは別に基準資産額、というものも必要になります。
金額は種類によって異なるのでこちらも併せて確認してください。
- <第1種旅行業登録>
- 取扱可能な旅行業務:海外・国内旅行すべてに対応可能
- 基準資産額:3,000万円
- <第2種旅行業登録>
- 取扱可能な旅行業務:一部の海外旅行と国内旅行すべてに対応可能
- 基準資産額:700万円
- <第3種旅行業登録>
- 取扱可能な旅行業務:一部の海外旅行と一部の国内旅行に対応可能
- 基準資産額:300万円
- <地域限定旅行業登録>
- 取扱可能な旅行業務:一部の国内旅行に対応可能
- 基準資産額:100万円
- <旅行サービス手配業登録>
- 取扱可能な旅行業務:旅行業者から委託された業務を行う
- 基準資産額:不要
- <旅行業者代理業登録>
- 取扱可能な旅行業務:旅行業者から委託された業務を行う
- 基準資産額:不要
旅行業者に分類されるのは、第1種旅行業登録から地域限定旅行業登録までです。
それ以外は、旅行業者代理業として旅行業者から委託された業務を行うことになります。
詳しくは観光庁の「旅行業法概要」をご覧ください。
旅行業協会に入会
前項でも少しお話した旅行業協会ですが、そもそも何をしているところで、入会することにどんなメリットがあるのかをご紹介していきます。
旅行業協会(通称:JATA)は旅行需要の拡大と旅行業の健全な発展を図ることを目的とした一般法人団体です
入会自体は任意ですが、入会することでこの後説明する旅行業営業中の営業保証金を節約することができます。
その他にも旅行者との旅行取引に係る法務相談・税務等の相談、最新情報を提供してくれるなどメリットが存在します。
取得する免許によって異なるものの、手続きから営業開始までは90日前後はかかるでしょう。
旅行サービス手配業登録と旅行業者代理業登録の支払は不要です。
入会にかかる費用は以下の通りです。
入会金 | 80万円 |
---|---|
年会費 | 35万円(普通会費)+600円/従業員1人当たり |
また、後からでも入会することも可能となっています。
営業保証金または弁済業務保証金の準備
旅行会社を立ち上げるにあたって、営業保証金制度と弁済業務保証金制度を理解しなければいけません。
営業保証制度と弁済業務保証金制度の概要は以下の通りです。
〈営業保証金〉
【概要】
旅行業協会の正会員以外の旅行業者と旅行業務に関して
取引をした旅行者がその取引によって生じた債権について、
旅行業者が国に供託した営業保証金から一定の範囲で旅行
者に弁済する制度。【内容】
観光庁
・旅行者は旅行業者の債務不履行の際に、当該旅行業者が
供託している営業保証金から旅行代金等の範囲内で弁済を
受けることが可能。
・弁済請求額の合計金額が、営業保証金額を超える場合、営
業保証金額の範囲内で請求額に応じて按分。
〈弁済業務保証金制度〉
【概要】
観光庁
旅行業協会の正会員である旅行業者(保証社員)と旅行
業務に関して取引をした旅行者がその取引によって生じた
債権について、旅行業協会が国に供託した弁済業務保証
金から一定の範囲で旅行者に弁済する制度。
【内容】
・旅行者は旅行業協会の正会員(保証社員)である旅行業者
の債務不履行の際に、弁済業務保証金から旅行代金等の
範囲内で弁済を受けることが可能
・弁済請求額の合計金額が、弁済限度額(保証社員が納付し
ている弁済業務保証金分担金の額の5倍の金額)を超える
場合、弁済限度額の範囲内で請求額に応じて按分
営業保証金は供託しなければいけない義務となっていて、旅行業協会に入会していると営業保証金に代わり弁済業務保証金を供託しなければいけません。
供託する金額は営業保証金と弁済業務保証金で異なります。
営業保証金 | 弁済業務保証金 | |
---|---|---|
第一種旅行業 | 7,000万円 | 1,400万円 |
第二種旅行業 | 1,100万円 | 220万円 |
第三種旅行業 | 300万円 | 60万円 |
地域限定旅行業 | 15万円 | 3万円 |
旅行サービス手配業登録 | 不要 | 不要 |
旅行業者代理業登録 | 不要 | 不要 |
旅行協会に入会しているとしていない場合の1/5の供託になります。
この供託をしないと事業を開始することができないので忘れないようにしましょう。
国や地域ごとの免許や許可
お伝えした通り、各免許によって扱える旅行先が異なります。
第一種旅行業の免許を取得すれば問題はないものの、それ以降は少し複雑です。
たとえば、第三種旅行業自らが企画した旅行を取扱う場合は、営業所が所在する市町村とその隣接市町村および観光庁長官の定める区域内に限られます。
また、地域限定旅行業が国内旅行を取扱う際は、すべて営業所が所在する市町村とその隣接市町村および観光庁長官の定める区域内でのみ実施しなければなりません。
第一種旅行業以外の免許を取得予定なのであれば細部まで把握しておかなければなりません。
定期的な更新とコンプライアンスの確認
各免許には有効期限があるので、必ず確認して更新するようにしてください。
おおむね、有効期間満了日の2か月前までに更新の登録を行う必要があります。
また、昨今さまざまな場所でコンプライアンスが問題視されています。
会社を健全に経営するうえで重要な項目なので必ず守りましょう。
顧客獲得の5箇条
続いては、旅行会社としてどのように顧客を獲得したらよいのか、その戦略や方法について紹介します。
旅行会社の立ち上げを検討している方はぜひ参考にしてください。
他者との差別化
旅行会社として他社と差別化した部分を作り出していく必要があります。
独自のサービスだけでなく、HPやロゴのデザインにもこだわると会社のカラーが浮かび上がってくるでしょう。
キャンペーンやツアー内容も差別化できるものはたくさんあります。
日々試案していかなければいけません。
ウェブサイトとメディアの最適化
会社について知ってもらうためには、ウェブサイトやソーシャルメディアを使用するのがおすすめです。
洗練されたデザインにするだけでなく、多くの人に届くようにSEO(検索エンジン最適化)対策をしたり、SNSでハッシュタグなどを有効に使うとよいでしょう。
多くの人がネットから情報を得る時代なので、プロモーションには最適です。
コンテンツマーケティング戦略
顧客に価値を与えるコンテンツを制作してマーケティングを行うという方法もあります。
たとえば、おすすめの旅行先や旅行前の準備などを紹介するYouTubeチャンネルを作るのも有効でしょう。
どんな事業でもまずは知ってもらうことが大切です。
その動画を見た方が利用してくれるような導線を作れば、顧客獲得のチャンスになります。
他社との協力も顧客獲得のチャンス
ほかの旅行会社と共同して旅行プランを作成したりパッケージを企画したりするのも一つの手段です。
それ以外にも、ホテルやレンタカー会社、テーマパークなど他業種との連携もおすすめ。
新規顧客獲得のチャンスなので、積極的に行いましょう。
顧客アンケートを積極的に行う
初めて利用する側からすると、会社の評判は気になる部分です。
そのため、一度利用した顧客にアンケートを取ってそのレビューを公開してみてください。
利用するか迷っている新規顧客の背中を押してくれる要因になるかもしれません。
またアンケート調査の結果をみて今後の方針や改善点が見つかることが多々あります。
顧客からの目線で意見をもらえるというのはアンケート調査を行う最大のメリットです。
よくある失敗と回避策
会社を立ち上げる際に気を付けたい点もいくつかあります。
よくある失敗としてまとめた上で回避策もお伝えするので参考にしてください。
不十分な市場調査
十分に市場調査ができていない場合はビジネスが失敗することが大いにがあります。
たとえば、競合他社が提供している類似のパッケージプランを高額で販売していたとします。
当然、売り上げは伸びずに終わるでしょう。
事前に周りがどのようなプランを販売しているのかを調査していれば避けられていた事態です。
そのうえで、自分だけの売りや差別化ポイントを明確にすることが重要になります。
資金不足
お伝えした通り、旅行会社を立ち上げるには大きな金額が必要になります。
保証金などを支払い終えて事業を始められたとしても運転資金が不足してしまったというケースもあるでしょう。
必ず余裕を持った資金計画を立てておいてください。
不安な方は、融資や補助金などを活用した資金調達がおすすめです。
不明瞭なブランディング
サービスの内容が多様すぎて強みを見失っているケースもあります。
顧客からしても、どんな旅行会社なのかという印象が薄まってしまい業界の中でのポジションを確立することができなくなってしまうでしょう。
市場調査で他社との差別化ポイントを見つけたら、その点に焦点を当てたサービスを展開するべきです。
ターゲットもなるべく絞りこむと、より刺さりやすい施策になるでしょう。
無計画なマーケティング戦略
顧客獲得のためのマーケティング戦略がきちんと計画できていない場合もビジネスとして成功するのは難しいでしょう。
たとえば、シーズンやターゲットを無視して広告を展開しても顧客には響きません。
冬季ならスキー・スノボツアー、女性をターゲットにしているなら広告セグメントも女性にするというように方向性を決めてマーケティングを行いましょう。
顧客サービスの欠如
旅行先に関する情報不足やスピード感のないサポート、顧客ニーズの理解不足などサービスの質が悪いと顧客はどんどん離れてしまいます。
一度利用した方の満足度を上げてリピーターを増やさなければなりません。
そのためにも、顧客目線に立って考えたり他社のサービスをチェックしたりすることが重要です。
柔軟性の欠如
人と対する仕事なので、場合によっては急なキャンセルや予定変更も考えられます。
その理由にもよるものの、天候や体調不良などやむを得ない場合はできる限り顧客の要望に沿う形を取るのがよいでしょう。
こういった柔軟性がないと顧客は使いにくいと感じて離れていってしまいます。
また、旅行会社側が企画したプランも絶対ではなく、顧客の意見も取り入れてながら制作してください。
顧客満足度も上がり、また利用しようと思ってくれるはずです。
まとめ
旅行好きの方にとって旅行会社の設立は「好き」が活かせる事業の一つでしょう。
プランを企画したり案内したりする時は、楽しさややりがいを感じる瞬間です。
とはいえ、設立には大きな資金が必要というのも念頭に置いておかなければなりません。
資金の調達方法が分からないという方は、CEOパートナーに連絡してみてください。
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相談は無料なので、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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