創業融資返せない?起こる事態とその対策を伝授!ピンチをチャンスに

創業融資返せない?起こる事態とその対策を伝授!ピンチをチャンスに

新たに事業を始める方は日本政策金融公庫での「創業融資」を検討する方が多いかと思います。

「創業融資」とは、新たに起業・開業する方に向けて行っている融資のことです。
自己資金では賄えない資金を日本政策金融公庫から借り入れる事で起業・開業を目指します。

起業・開業をする歳、業種によっては多額の資金が必要となり、それら全てを自己資金で賄うのはとても大変です。
そんな創業者を支援するためにこの創業融資は存在します。

とは言え融資は無償で提供されるものではなく借入です。
借入ということはいずれ返さなくてはいけません

この創業融資を検討する方に多いのが「返せない、なんて状況に陥ったらどうすればいいのか」という不安です。

そこで本記事では「創業融資が返せない」といった状況になってしまったらどんなことが起こるのか。そしてどんなことをしなければいけないのか。そういった点について詳しくご紹介していきます。

これから融資を検討している人も既に融資を受けた人もぜひ参考にしてください。

目次

「創業融資が返せない」そうなってしまった際に起こる4つの事

それでは早速、「創業融資が返せない」といった状況に陥ってしまった際に起こることをご紹介していきます。
起こる事としては4つ。

  • 支払いの督促が始まる
  • 遅延損害金の支払いをする必要が出てくる
  • 残高の一括返済が求められる
  • 訴訟や差し押さえなどの強制執行が成される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

支払いの督促が始まる

創業融資には返済期日があります。
その期日を過ぎてしまうとまず初めに来るのが支払いの督促です。

返金期日が過ぎていても入金が確認できない場合は、翌営業日または翌々営業日に日本政策金融の担当者から電話がかかってきます。
その電話を無視した場合、次に郵送で督促状が届きます。

まずはこのように電話や郵送で督促が始まるのです

遅延損害金の支払いをする必要が出てくる

返済期日を1日でも過ぎるとその段階で「遅延損害金」の支払いが必要になります。

遅延損害金は遅延利息とも言い、支払い義務のあるものを期日までに支払えなかった際に発生する金銭の事を指します。
その賠償金は滞納している金額や期間によって異なり、大きな金額を長期間支払わずにいると遅延損害金も大きな金額になってしまいます。

日本政策金融公庫の令和6年4月現在から令和7年3月末までの貸付に対する遅延損害金の割合は年8.70%となっています。
この遅延損害金が発生する日は契約書にある返済期日の翌日から、または督促状などに記載されている返済期日の翌日からとなっています。

<遅延損害金の計算方法>

借入残高×年率×滞納日数÷365日=遅延損害金

遅延損害金は上記の計算式で割り出すことができます。

日本政策金融公庫からの借入残高が100万円で、30日間滞納したパターンと60日間滞納したパターンで計算してみました。

100万円×8.70%×30日÷365日=約7,150円

100万円×8.70%×30日÷365日=約14,301円

この様に滞納した期間が約1ヶ月異なるだけで遅延損害金は倍に膨れ上がります。
つまり、遅延損害金は借り入れた額とその延滞日時に比例して金額が大きくなっていくのです。

最初は少ない金額だからいいかもしれませんが、それを放置しているとどんどんと大きくなってしまいます。
そうなってしまう前に早めの返済を心がけましょう。

残高の一括返済が求められる

督促に応じず返済を滞納し続けた場合、約3ヶ月後に一括払いの請求書が届きます。

もちろんですがこの時には返済できなかった分だけでなく元金と利息、そこに遅延損害金を上乗せした金額が求められます。

借入の残高が多い状態だとそれを全て一括払いで返済しなければいけなくなってしまうのです。

こういった事態を避ける為にも最初の督促がきてしまったら無視をせず早い段階で日本政策金融公庫に連絡を入れ、返済に関する相談をしておきましょう

訴訟や差し押さえなどの強制執行が成される

一括払いの請求を無視、または応じなかった場合、最後に起こるのが訴訟や差し押さえなどの強制執行です。

日本政策金融公庫による創業融資を利用した際の差し押さえまでの流れは以下になります。

  1. 債務者に代わり、信用保証協会や保証会社が日本政策金融公庫に対して残高の一括返済を行う。
  2. 債務者の返済先が日本政策金融公庫から信用保証協会や保証会社に移る。
  3. 信用保証協会や保証会社から裁判所を通じて訴訟が起こされる
  4. 債務者に対して裁判への出頭が命じられる

この裁判の出頭に応じた場合、債務者の言い分が全面的に認められて強制執行となり、差し押さえが行われます。
反対に裁判の出頭に応じなかった場合は債権者、ここで言う信用保証協会や保証会社の言い分で話が進んでしまうので債務者にとって不利な条件で強制執行となる可能性が高くあります。

強制執行により差し押さえられる財産は以下になります。

  • 預金口座内の現金(現金が66万以下は差し押さえ不可)
  • 給与債権の一部
  • 土地,建物(マイホームを所有している場合)
  • 受け取り前の給与
  • 自動車
  • 貴金属
  • 20万以上の価値がある財産(パソコンやブランド物なども対象)

基本的に融資の際に担保に入れているものがあればそれらは競売で売却されてしまいます。

また、預金や住居を差し押さえられてしまうと生活が困難になってしまいます。
そうならないためにも訴訟が行われてしまった場合には素直に裁判に応じるようにしましょう

どうすればいい?融資が返せなくなったときの4つの行動

では融資が返せない状況に陥った際には何をすればいいのでしょうか。

まず念頭に置いて頂きたいのが、「返せなくなってから」ではなく、「返せないかもしれない」と事前に事態を把握してから行動する、ということです。

これを踏まえた上で対処法を順番にご紹介していきます。

追加融資を行う

まず初めに考える事としては追加融資を行うことです。

追加融資は名前の通り追加で融資を受けることです。
この追加融資を行うことで当面の資金不足をカバーすることができます。

しかしこの追加融資は誰でも簡単にできるものではありません。
既に返済が滞っている場合だと信用が下がってしまっている状態なのでハードルは高くなります

その他にも創業融資の返済が延滞無く返済されていることや、決算書では利益が出ていることなど、一時的に厳しいが基本的にはうまくいっている、ということが証明できなければいけないのです。

もちろん「事業計画書」や「資金繰り表」などを作成し、業績回復の可能性や今後返済ができる根拠などがしっかり示せれば可能性はあるでしょう。

また、融資を追加で受けるので当面は手元に資金が入るので賄うことができても将来的な返済額や負担が増えるといったデメリットもあるので注意が必要です。

それらを踏まえた上で返済が滞る前に、少し厳しそうと思った時点で追加融資を検討しましょう。

借換を行う

追加融資が難しい場合は借換です。

借換とは今現在受けている融資よりも返済に関することなどの条件が良い融資に切り替える事を指します。
この借換を行うことで今受けている融資の残高を一括返済し、月々の負担を軽減させることが期待できます。

借換例】

①現在500万円の融資を返済中
(据置期間1年/返済期間5年間/毎月の返済金額約8万5千円)

②新たに800万円の融資を受ける

③新たに受けた800万円の融資で500万円の融資を一括で返済

④結果、通帳には300万円が振り込まれる
(800万円-500万円=300万円)

⑤以降は改めて受けた融資の800万円を返済する
(据置期間1年/返済期間10年/毎月の返済金額約6万9千円)

こういった借換を行うことで

  • 返済の目途が立たなくなってしまった融資の一括返済
  • 追加で300万円の資金調達
  • 据置期間の延長
  • 融資の返済期間を長期化することで毎月の負担を軽減

といった効果が期待できます。

しかし資金調達と同様で誰でも簡単に、というわけではありません。
社会的情勢や自然災害などで資金繰りが難しくなっている企業や融資の返済が延滞無く返済されていることなどが重視されるので返済を滞納する前に検討してください。

リスケジュールを行う

上記の2つが期待できない場合はリスケジュールを行います。

リスケジュールとは、返済日や返済額を見直して返済スケジュールを調節することを指します。

ここでポイントなのが、リスケジュールの相談は滞納する前に行う、ということです。
1度滞納をしてしまうと督促が始まり、リスケジュールが難しくなってしまいます。
必ず滞納する前、返済がスケジュール通りにいかないかもしれないとわかった時点で借入先の担当者に相談をしましょう。

もし督促が届いてしまったとしても、その連絡に無視をしなければ担当者が対処策を提示してくれることがあります。
借入先からの連絡は無視をせず、必ず対応しましょう

参考記事:創業融資とは?キホン丸わかり!メリットデメリットや特徴を大解説

債務整理を行う

追加融資、借換、リスケジュール。

この3つが難しい場合は債務整理を行います。

債務整理の種類を以下の表にまとめました。

種類概要
任意整理利息を免除・減額や元金の支払いを3~5年で返済をするといった交渉を裁判所を介さず債権者と行うことで負担を軽減させる方法。
個人再生裁判所に申し立てを行い、弁済計画を立ててもらい負担を軽減させる方法。
裁判所に申し立てが認められると、住居や財産を残した上で減額された金額を3~5年かけて支払う。
自己破産裁判所に申し立てを行い、それが認められると一定以上の価値のある財産を一部処分して支払いを全て帳消しにする方法。
特定調停専門家に依頼せず自身で裁判所に申し立てを行うことで減額された借金を分割で返済する方法。

一見メリットが多いように見える債務整理ですがそれぞれにデメリットが存在します。

大前提として、債務整理を行うと信用情報機関に事故情報が登録されます。
つまりブラックリストに入ってしまうので再度の融資やクレジットカードの作成、ローン組みが難しくなるというような影響があります。

数年経てば事故情報が信用情報機関から削除されますが、ある程度の時間がかかります。
債務整理は最終手段とし、自身の今後を見据えたうえで検討してください

参考記事:独立が怖い5つの理由!独立を怖がる人の共通点と解決策を徹底解説

「返せない」そうならないために行うべき4つのこと

せっかく厳しい審査を乗り越えて融資を受けれたのに、その融資の返済で苦しくなってしまっては元も子もありません。

ではそうならないためにはどうすればいいのか。

「返せない」なんてことにならないために行うべき4つのことを本章ではご紹介していきます。

お金の流れを把握し、返済計画を改める

今いくらあって、今後いくらの支出があるのか。
そしていくらの売り上げが見込めるのか。

そういったお金の流れを細部まで把握することが大切です。

固定費は把握しやすいと思われますが、変動費は把握しづらいでしょう。
ですがしづらいからと言ってなあなあにしてはいけません。

実際に今どれぐらい固定費、変動費で出費があるのか、そのうえでどれほどの売り上げがあるのか。
どれぐらいの利益が出ているのか。
そういった損益分岐点を洗い出すことが必要です。

そして、お金の流れを把握することで計画的に返済が可能かどうかなども把握することができます。
返済の計画がズレそうであれば出費をや返済計画を改めるといった早期の対策が可能になります。

損益分岐点については以下の記事で詳しく説明していますのでそちらを参考にしてください。

参考記事:起業はカフェ開業で叶えよう!夢を実現する8ステップと成功ポイント

資金は余裕を持った状態にしておく

社会的情勢で経営が傾いてしまった、急な出費で返済に充てようとしていた資金がなくなってしまった。

会社を経営しているとこういったことが起こる時があるかもしれません。

だからこそ資金は常に余裕を持った状態にしておかなければいけません。

あまり余裕がなさそうであれば事業計画を見直したり、資金繰りを行ったりして余裕のある状態を保てるようにしましょう。

また、資金調達もそうですが、より利益が出るような方法を模索し、実際に行っていくことも大切です。
売り上げがあっても利益がなければ意味がありません。

ギリギリの経営ではなく、余裕のある経営を心がけましょう。

参考記事:資金調達は5種類!高額・スピード・返済不要の資金調達TOP3

担当者に相談する

少しでも「返せないかもしれない」と思ったときは早急に担当者に相談をしてください。
督促が届く前に相談することが望ましいのですが、もし督促がきたら即時の相談が何よりも大切です。

支払う意志があると思って貰えればリスケジュールなどの対処案を出してくれますし、親身になって相談に乗ってくれるでしょう。

しかし、1度でも滞納してしまうと支払いの意志がないと見なされ相談しても難しい顔をされてしまいます。

そうならないためにも早い段階で相談をしましょう。

専門家に相談する

返済が出来なくなる前に事前に専門家に相談することでその時の最善策を提示してくれます。
お金のことや経営に関することはプロである専門家に任せるのが一番です。

また、いま融資を考えているのであればその時点で専門家に一度相談をするのをおすすめします。
専門家に相談することで、無理のない返済計画や過剰融資を抑えてくれるのです。

専門家に相談したいけど、どうすればいいのかわからない、という方にはCEOパートナーをおすすめします。

CEOパートナーは融資に強いプロの税理士とマッチングしてくれるので融資に関する相談をすることができます。
返済計画のことはもちろんですが、おすすめの金融機関や制度なども教えてくれます。
融資に強い税理士が融資が降りるまでを完全サポートしてくれるのも大きな特徴です。
融資を受けてから返済をするまでのサポートが充実しているので融資を考えている方はぜひ検討してみてください。

まとめ

融資は借入なので必ず返さなければいけません。

一度でも融資を検討したいことのある方は百も承知だとは思います。
しかし、どれだけ返済の意志があっても必ず返済できるかどうかはその時にならないと分からないものです。

融資を受けてから返済できずに焦るのではなく、こういったリスクがあることを踏まえて、そうならないためにはどうするべきか、なってしまった時はどうするべきか、といったリスクヘッジが大切になります。

今回は返せなくなった時のことを重点的にお話ししましたが、もし返済が出来なくなってしまっても、その後の行動が正しいものであれば再度融資を受けることは可能です。

その正しい選択を正しいタイミングでできるようにこういったリスクもしっかりと把握しておきましょう。
その為にも、本記事をぜひ参考にしていただければと思います。

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この記事を書いた人

過去に起業家の友人と些細なきっかけから会社を設立。当時得た知識とノウハウを活かし、現在は起業と会社設立に関する情報を発信中。趣味は旅行や推しを見ながら晩酌する事です。

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