独立準備中でも失業保険を受け取ろう!受給する為の3つの条件

失業保険タイトル

起業・独立の準備中に失業保険は受給できるの?

そもそも、起業で退職していたら受給対象外かもしれない。

なんて思ってはいませんか。

起業準備中に集中するために仕事を辞める方は多いです。

失業保険を受け取りながら起業準備をしたいと考えますよね。

そもそも失業保険は求職活動中や起業の準備期間中に受け取ることができます!

起業すると受給することはできませんが、準備中なら大丈夫なのです。

そこで今回、起業・独立予定の方に向けて、失業保険のもらい方をまとめています。

さらに就職祝い金でもある「再就職手当」についても受給することが可能ですので、参考にしてくださいね。

これから独立のためにも、保険の手当を活用していってください。

目次

起業準備中に失業保険をもらう5つのステップ

失業保険準備中5つのステップ

失業保険は加入要件を満たしている方であれば誰でも手続きができます。

要件を満たしているようであれば、まずはハローワークにて手続きをしましょう。

離職票等の必要書類の準備

「離職票」とは、退職者が失業手当の申請をするときに必要な書類のひとつで、離職したことを公的に証明する書類です。

正式には「雇用保険被保険者離職票」と言い、「被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票-1)」と「被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票-2)」の2種類があります。

前者はハローワークに来所して手続きを行う際、離職者本人が失業給付金の振込先情報などを記入する項目が設けられています。

後者は3枚綴りの複写用紙で、離職者が離職する際、企業側が受け取った給与や離職理由などを記載し、3枚あるうちの1枚(本人控)が離職者本人に交付されます。

雇用保険に入っていれば、退職した会社で必ずもらえるものですので、退職して2週間経っても来ない場合は退職した会社に連絡を入れるようにしましょう!

ハローワークで手続き

退職後、勤め先から交付された離職票を持参の上、最寄りのハローワークにて「求職の申込み」を行います。

その際、

  1. 個人番号が記載された公的証明書(マイナンバーカード、通知カード、個人番号に記載がある住民票)
  2. 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)のうち1つ、もしくは公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などのうち2つ
  3. 本人名義の預金通帳もしくはキャッシュカード

以上が必要となりますので、併せて準備しておくとスムーズです。

ここで受給要件を満たしているかどうかが確認された上で、受給資格の決定が行われますが、ここで今一度、自身の退職理由は間違いないかを確認しましょう。

中には労働者の立場が弱いことや無知を逆手に取り、労働者を辞めさせるよう仕向ける、悪質な会社や経営者がいます。

本来であれば双方合意の上で退職の手続きが行われて然るべきなのですが、悪質な会社や経営者は、四の五の理由を押し付けて、本来なら会社都合とすべき内容にもかかわらず、「自己都合」として手続きを進めようとするからです。

そのため、万が一離職理由に異議がある場合については、泣き寝入りせず、一度ハローワークに相談の上、第三者的な立場見解から判断を仰ぐのがよろしいかと思います。

提出された書類に不備などがなければ、ここで「受給資格の決定」が下されます。

雇用保険説明会への参加

手続きがおよび受給資格の決定通知が下りたら、次は雇用保険説明会への参加となります。

この説明会は参加必須となり、内容としては雇用保険受給中における諸手続きや、失業認定申告書の書き方、今後の就職活動の進め方などについての説明が行われます。

一般的にはこの説明会で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」の交付が行われることが多いようです。

なお、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、一部のハローワークでは対面での雇用保険説明会の開催を中止し、WEBによる動画配信を行っているところもあるそうです。

念のためハローワークに問い合わせた上で、WEB受講が可能であればぜひ活用しましょう。

なお、受給手続きを開始した日から失業の状態が通算して7日間経過するまでを「待期期間」といい、この間は雇用保険の支給対象となりません。

ちなみに、自己都合等で退職した場合は、待期期間満了の翌日から更に3か月間、基本手当は支給されません(会社都合退職の場合は、待期期間(7日間)の翌日に支給されます)。

しかし昨今の時勢情勢などから、「自己都合の場合でも待期期間(7日間)の翌日に支給される」方向で検討されている模様です。

失業認定日にハローワークへ行く

失業手当を受け取るには、雇用保険説明会への参加後、定期的にハローワークに赴き、「失業中であるとの確認をしてもらう」必要があります。

この日を「失業認定日(あるいは失業保険の認定日)」と言います。

まず、受給資格が決定してから約1か月後に「初回認定日」が設けられ、以降原則として4週に1回の割合で失業認定日が設定されます。

失業認定日に管轄のハローワークに赴き、就労の有無、求職活動の実績などを確認し、失業認定申告書を提出することで失業の認定を行います。

失業手当の受給

失業手当は、失業認定日から通常5営業日後(給付制限がある場合は2~3カ月経過後)に指定口座に振り込まれます。

以後、原則として4週間に1回の認定日に、上述の認定を受けることで、失業手当を受給することができます。

失業保険をもらう為の注意点

注意

単に書類を記入し提出するだけでは失業保険は受給できません。

前項でも述べた通り、必要な手続きのほか、都度要件を満たす必要があります。

失業保険の受給資格の条件

受給要件については、『求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること』と定められております。

そのため、失業認定日にハローワークに赴き、就労の有無、求職活動の実績などを確認しなければなりません。

これを怠ると失業保険が受給できなくなるため、注意が必要です。

但し、「やむを得ない理由」と認められるものであれば、認定日を変更できる場合があります。

※やむを得ない理由の一例

  • 就職が決まった(就職した)
  • 面接、選考、採用試験等が入った
  • 各種国家試験、検定等資格試験の受験日と重なった
  • ハローワーク等の指導により、各種講習等を受講する場合
  • 働くことができない期間が14日以内の病気、けが
  • 本人の婚姻
  • 親族の看護、危篤または死亡、婚姻(但し親族の全てではなく範囲が限られています)
  • 子弟の入園式・入学式または卒園式・卒業式

上記に該当する場合は、事前にハローワークに連絡の上、その指示を受けた上で対応すれば、認定日の変更が認められますが、その際、原則としてその事実がわかる証明書等が必要となります。

証明書等については、事前にハローワーク等の窓口で確認の上、その指示を仰ぐようにしてください。

なお、上記以外の理由でも、これに準ずると認められる場合や、天災その他やむを得ない事故等であった場合については、認定日変更が認められるケースもあります。

万が一これらに該当する場合で事前の相談が難しい場合などは、まず管轄のハローワークに相談しましょう。

受給できないケース

当然と言えば当然ですが、退職後に働く意思がない場合、失業給付は受給できません。

また、病気やケガ、妊娠・出産・育児などですぐに就職できない場合についても「働くことができない状態」と判断されるため、受給ができません。

基本手当受給中には起業しない

自営業の方や個人事業主として働いている方は、失業保険の対象外とされています。

そのため、前職を退職後、すぐに起業した場合については、失業給付を受けることはできません。

但し、個人事業主であれば開業届の提出、法人であれば会社を設立した、事務所の賃貸借契約書を結ぶまでであれば、ここまでに要する期間は受給の対象となります。

そのため、「前職を退職したが、個人事業主で起業するか、企業等に就職するか迷っている」のであれば、開業届の提出は一旦控えた方が賢明でしょう。

余談ですが、個人事業主で開業する場合はこの制度をうまく活用することで、併せて失業給付の受給ができます。

開業届の提出のタイミングは原則として事業開始から1か月以内とされていますが、これを怠ったことによる罰則等は特にありません(強いて挙げるなら税制上の優遇が受けられない)。

そのため、「事業が軌道に乗るまでの間を準備期間と位置づけ、軌道に乗るまでの間(最大1年間)」であれば、その間受給を受けながら本業に注力し、軌道に乗った段階で開業届を提出するのが賢い方法と言えるでしょう。

これだけを見ると、開業届を出さずに失業給付を受給するのが賢い方法のように思えますが、開業届を提出しないことにより、税制上の優遇を受けられない、助成金や補助金の申請ができない、屋号で口座開設ができないなどといったデメリットがあります。

また、業務委託等で安定的な収入があるにもかかわらず失業給付を受け続けていると、内容によっては「不正受給」ととられる可能性があります。

目先のお金欲しさに目が眩むと、後々大損を被ることになり、信用を失うことにもなりかねませんので、上記を参考の上、最適な方法を選びましょう。

失業保険受給中のアルバイトに注意

失業保険の受給期間中であっても、生計を立てるに心許なく、場合によってはアルバイトをする方もいらっしゃるかと思います。

その際、「アルバイトをしても良い期間」と、「アルバイトをしてはならない期間」があることに留意しましょう。

■アルバイトをしても良い期間

  1. 離職してからハローワークに求職の申し込みをするまでの間
  2. 給付制限期間中および失業給付の受給中
    →1日4時間以上かつ週20時間未満までのアルバイトであれば概ね問題はありません。

■アルバイトをしてはならない期間

  • 受給手続きを開始した日から失業の状態が通算して7日間経過するまでの間
    →この間ほんのわずかでも収入を得たと判断されると、その分待機期間が延長になってしまうので気を付けましょう。

早めに起業するなら、再就職手当

再就職手当

「再就職手当」と聞くと、一般企業等に就職した場合のみ支払われる手当だと思われるかもしれませんが、個人事業主になる場合でも受給可能です

再就職手当と失業保険の違い

再就職手当とは、雇用保険の基本手当(失業手当あるいは失業給付、失業保険)の給付金を受け取っている人が、早期に就職した場合に受け取れる手当のことです

これまで述べてきた通り、会社を退職後、一定の手続と要件を満たすことにより、失業保険を受けることができます。

中には失業保険の受給期間中は最大限給付を受けたいと考える人もいるかと思いますが、これによって企業への再就職が遅れる方も一定数存在します。

そこで、この受給期間内に就職をすることにより、早期の再就職を促進するという名目で、再就職手当を受けることが可能となっています。

再就職手当の額は、就職等をする前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数により給付率が異なります。

例)支給日数を所定給付日数の3分の2以上残して早期に再就職した場合
→基本手当の支給残日数の60%の額3分の1以上残して早期に再就職した場合
→基本手当の支給残日数の50%の額

早く再就職すると、より給付率が高くなります。

更には、再就職手当を受給した方が再就職先に6か月以上雇用され、再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合には「就業促進定着手当」が受けられます。

再就職手当の受給条件

受給するにあたって、以下の項目すべてを満たす必要があります。

  1. 待機期間の満了後に、就職もしくは事業を開始したこと
  2. 就職もしくは事業を開始する日の前日までで、基本手当が受け取れる残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
  3. 1年を超えて働くことが確実であると認められること
  4. 離職理由により給付制限を受けている場合、待機満了後1か月間は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により就職していること
  5. 離職前の事業主に再び雇用されていないこと(資本や人事などの状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある場合も含む)
  6. 前3年以内に、再就職手当などの支給を受けていないこと
  7. 受給資格が決定される前から就職することが決まっていないこと
  8. 原則、雇用保険に加入する雇用であること

個人事業主で再就職手当の手続き

冒頭で述べた通り、個人事業主でも要件を満たせば、再就職手当を受給することができます。

前職で雇用保険に加入していれば、退職後、最寄りのハローワークで離職票を基に手続きを行います。

失業認定を受け、その後開業届や開業を証する書類を提出するなどして要件を満たせば再就職手当を受給することができます。

受給のタイミングは、申請後約1か月程度と言われています。

起業しても失業保険が受給可能

起業しても失業保険

「万が一起業してもうまくいかなかったらどうしよう…」起業にまつわる不安は様々、数え上げればきりがないですが、失業保険に加入していれば、万が一廃業した場合でも、金銭面での不安をカバーすることができます。

起業後廃業の特例

雇用保険の基本手当の受給期間は、原則として「離職日の翌日から1年以内」とされています。

しかし本特例を適用することにより、個人事業主として事業を開始した場合、「事業開始後最大3年間は受給に算入しない」という特例が設けられました。

これによって、開業後万が一廃業したとしても、失業保険の受給期間が残っていれば、失業後でも一定期間(最大1年間)失業保険の受給を受けることができます。

後述しますが、この特例を受けた場合は、前項で述べた「就業手当」或いは「再就職手当」を受給することはできませんので、注意しましょう。

特例の条件

特例を受ける要件は以下となります(厚労省HPより参照)。

  1. 事業の実施期間が30日以上であること
  2. 「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日のいずれかから起算して30日を経過する日が、受給期間の末日以前であること
  3. 就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと
  4. 自立することができないと認められる事業ではないこと
  5. 離職日の翌日以降に開始した事業であること

手続きの流れ

上記②の翌日から2か月以内に最寄りのハローワークにて申請をします。

申請の際、所定の申請書に記入のほか、離職票或いは失業保険受給資格者証、事業を開始(或いは準備に専念)したことを証明する各種書類を提出する必要があります。

まとめ

望遠鏡を見る男性

現在の勤め先で仕事をしながら準備を進めるか、勤め先を退職してから準備を進めるべきかはそれぞれの状況にもよりますが、その間の収入は少しでも確保しておきたいものです。

起業してから事業が軌道に乗るまでが心許なければ、まずは失業保険の給付を受けながら準備を整えていきましょう。

そして開業後も3年以上続けられる見通しが立っている事業内容であれば、再就職手当を受給する、逆に3年続けられるか先行きが不透明であれば、起業後廃業の特例を申請することで、廃業後の失業給付が一定期間受けられます。

目先のお金を受け取るか、万が一の備えとして後々に保険を残しておくかは個々の考えや状況によるかと思いますが、少なくともこうした制度があることを知識として頭に入れておくことで、起業に関するお金の不安が少しでも解消するのではないかと思います。

賢く国の制度を活用していきましょう。

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この記事を書いた人

起業とお金の専門ライター。2022年に個人事業主として起業。起業家仲間と月1の飲み会でビジネスの情報収集・発信。趣味は読書とパラグライダー。起業したい人に向けて有益な記事を執筆しています。

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