「会社を設立したい」
そう考えても実際になにをすればいいのか。そもそも会社設立は簡単なのか難しいのかわかりませんよね。会社といってもその形態は様々でどの形態で設立するかで必要な資金やものが変わります。そこで今回は会社設立を考えている方に会社設立について詳しくご紹介していきます。
今から用意しておけば会社設立した時に楽になる情報もご紹介するので、会社設立したいけどまだ本格的には動けないという方も必見です!
会社設立を簡単に理解するならまずは形態を理解しよう
会社といってもいくつかの形態が存在します。現在設立が認められているのは「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。この形態によって設立にかかる費用などが異なります。各種類の特徴などをご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
会社の代表「株式会社」
資本金 | 出資者 | 責任の 範囲 | 設立費用 | 最高意思 決定機関 | 役員の 任期 | 定款認証 | 上場 | |
株式会社 | 1円以上 | 1名以上 | 有限責任 | 約24万円 | 株主総会 | 最長10年 | 必須 | できる |
現在設立されている会社の形態で1番多く、株式を発行してその株式を株主と呼ばれる出資者に販売し、そこで得た資金で経営を行う会社を株式会社と言います。株式会社の特徴として出資者と経営者が異なる点が挙げられます。これを「所有と経営の分離」と言います。
メリットとしては本来株式会社以外の形態や個人事業主は資金の調達を融資などを活用して自身で行う必要がありますが、株式会社は株式を発行して資金を調達する事ができます。また融資とは異なるので基本的に返済不要で自由に使用する事が可能です。
しかし、株式会社は決算公告が必須となっており、財務状況を定期的に開示する事が義務付けられています。また利益を株主に分配しなくてはならず、会社の経営も株主の意向を反映させる必要があります。こういった厳しいルールや自由な経営が難しい点が株式会社のデメリットと言えます。
現在設立できる会社形態の中で唯一上場ができる形態なので将来的にたくさんの人を雇い会社を大きくしたいというような考えがあるのであれば株式会社をおすすめします。
新しい形「合同会社」
資本金 | 出資者 | 責任の 範囲 | 設立費用 | 最高意思 決定機関 | 役員の 任期 | 定款認証 | 上場 | |
合同会社 | 1円以上 | 1名以上 | 有限責任 | 約10万円 | 社員の 過半数 | 無制限 | 認証不要 | できない |
2006年に新しく設けられた会社の形態がこの合同会社です。合同会社は株式会社とは異なり出資者と経営者が同一となり、出資した社員全員に決定権が得られるのが特徴です。
株式会社とは違い株主総会などの公的機関を設ける必要が無く、定款による組織の設計や利益配分を決めることができます。
合同会社は株式会社よりも容易に設立でき、設立にかかる費用も抑えることが可能です。また、社員が決定権を持っているので自由度も高く、スピード感のある経営ができます。株式会社と同等の税制優遇があるので節税も可能です。
合同会社は認知度が低いことから社会的信頼があまり高くなかったり、株式を発行して出資を募るといった資金調達ができないといったデメリットが挙げられますがメリットの方が多く存在する会社形態です。
費用は発生しますが手続きを行うことで合同会社から株式会社に変更することが可能です。株式会社よりもハードルが低い合同会社で設立をして、タイミングを見計らって株式会社に変更する、というのも一つの方法です。
手続きが比較的簡単「合資会社」
資本金 | 出資者 | 責任の 範囲 | 設立費用 | 最高意思 決定機関 | 役員の 任期 | 定款認証 | 上場 | |
合資会社 | 1円以上 | 2名以上 | 有限責任 無限責任 | 約6万円 | 社員の 過半数 | 無制限 | 認証不要 | できない |
会社の債務に関して出資した金額までの責任を負う「有限責任社員」と無制限に責任を負う「無限責任社員」の2つから構成される会社形態を合資会社と言います。実際に事業を行うのは無限責任社員で有限責任社員は原則的に事業には携わりません。
合同会社と同じく定款を自由に規定でき、比較的設立費用が安いのがメリットと言えます。社会保険に加入できるのも大きな魅力の一つです。
しかし有限責任社員と無限責任社員の最低でも2人以上を集める必要がある他、万が一倒産してしまい負債を負った場合は無限責任社員に大きな負担がのしかかるので注意が必要です。
近年ではそのリスクの高さから減少傾向にあります。
複数の個人事業主からなる「合名会社」
資本金 | 出資者 | 責任の 範囲 | 設立費用 | 最高意思 決定機関 | 役員の 任期 | 定款認証 | 上場 | |
合名会社 | 1円以上 | 1名以上 | 無限責任 | 約6万円 | 社員の 過半数 | 無制限 | 認証不要 | できない |
合同会社は出資者全員が無限責任社員となって構成されている会社形態です。複数の個人事業主からなっていると考えるとわかりやすいかと思います。以前までは2人以上の出資者がいなければ設立できませんでしたが2006年に会社法が改正されて現在では1人の出資者で設立が可能です。
合名会社は合資会社と同様で手続きが簡単で設立費用が少ないので比較的設立しやすい会社形態と言えます。複数の個人事業主で構成されていることもあって、個性を重視した会社なので社員一人一人が業務執行や代表権を有しているのが特徴です。
デメリットとしては構成される社員が全て無限責任社員なので万が一の時のリスクに上限がありません。なので合資会社と同様近年では減少傾向にあります。
会社設立の流れを知ろう
形態を理解したなら次は会社設立の流れを把握しましょう。形態によって必要なものが異なるので自身がどの形態で設立するのかを決定してから流れを確認してください。
基本事項を決める
まずは自身が設立する会社の基本事項を決めます。基本事項は以下の通りです。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立日
- 資本金
- 発起人(出資者)
- 各発起人の出資額
- 印鑑(代表印、銀行印、角印の実印)
- 役員の構成とその報酬額
株式会社の場合はここに「発行可能株式総数」、「設立時に際して発行する株式の枚数」、「株式譲渡制限の有無」、「公告の方法」が加わります。これらは定款の作成時に必要になりますので必ず決定しましょう。
定款(ていかん)を作成する
基本事項を決めたらそれをまとめていきます。このまとめたものを定款といい、定款は「会社の憲法」と呼ばれるほど大事なものになります。会社設立には欠かせないものになり、株式会社を設立するなら公証人から認証を受けなければいけません。またこの定款は1人でも作成が可能ですが知識を要するものとなっています。専門家に任せたり、本や詳しく書いてあるホームページを参考にして作成することをおすすめします。
具体的な項目については表がありますのでぜひ参考にしてください。
参考資料:J-Net21
資本金を払い込む
定款の作成が終わったら次は資本金を払い込みます。以前の会社法では有限会社は300万円以上、株式会社は1000万円以上の資本金がなければ会社設立が不可能でしたが、2006年に改正され現在では1円で設立が可能となっております。しかし、資本金が1円の会社は社会的信頼があまり高くないのである程度の資本金は用意した方がいいでしょう。
この段階では法人口座の開設ができないので振込先は会社設立の手続きを行う発起人の個人口座にするのをおすすめします。支払いが完了したら通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページのコピーをします。これは資本金の証明する書類となり後日登記申請をする際に必要になるので必ず保管しておいてください。
登記書類を作成して申請する
会社設立には登記申請をする必要があります。申請に必要な書類は以下の10種類です。
- 登記申請書
- 登記免許税分の収入印紙を貼り付けた納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 資本金の払い込みがあったと証明できる書面
- 印鑑証明書(法人印と個人印の両方)
- 「登記するべき事項」を記載した書面またはCD-R
書類の準備ができたら法務局に行き申請を行います。登記申請は資本金の払い込みから2週間以内に行ってください。書類に不備がなければ大体10日間ほどで登記完了となります。不備があった場合は役所から連絡がありますが、不備がなかった場合は連絡はありません。
この登記申請の記載事項は商業登記法によって定められています。法令に従って作成していなければ勿論認められないので注意が必要です。
各種行政等に届出書を出す
登記の申請ができたら会社設立完了となるのですがそれだけではまだ終わりではありません。税金や社会保険、労働保険などの各種手続きが必要になります。特に忘れないで欲しいのが「法人設立届出書」です。この法人設立届出書は会社を設立したことや会社の概要を税務署に知らせることを目的としています。これは株式会社や合同会社など関係なく設立日から2ヵ月以内に必ず提出しましょう。
その他詳しい届出書に関してはこちらの記事を参考にしていただければと思います。
関連記事:起業後の開業の届出手続きは5つの書類があれば安心
会社設立前にこの8つを用意しておこう
会社設立するとなると準備しなければいけないことや、やらなければいけないことがたくさんあります。そこで会社設立を考えている方に今から用意しておけば実際に会社設立をする際に楽になる情報をご紹介していきます。
関連記事:起業準備はこれだけ!開業・独立をする前にやるべき具体的な5つの手順
会社のロゴマーク
ロゴマークというのは会社のトレードマークになるものです。会社の顔と言っても過言ではないのでこだわって作りたいですよね。しかし意外とロゴマークの作成を忘れてしまう方は少なくないです。また、ロゴマークは納得のいく出来に仕上がるまでに時間を要します。なので隙間時間に考えたりと可能な限り早いうちからイメージを固めておきましょう。
名刺
ビジネスをする上で何かと名刺は必要になってきます。会社の設立がまだでも取引先と会う機会や起業家達と会う機会は必ずやってくるでしょう。名刺というのは自分がどんな人間でどんなことをやっているのか、やってきたのかを表すものです。名刺1枚あるか無いかで仕事の有無にも関わることがあります。できるだけ早めに作成しましょう。
クレジットカード
「え?クレジットカード?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、会社用のビジネスカードは持っておいて損はありません。プライベートと分けることで経費等の計算が楽になります。しかし、設立して間もない頃は社会的信頼があまり高くないので審査に通らない可能性があります。なので会社員の時に余分に1枚ほど作っておくことをおすすめします。
関連記事:【個人事業主】起業・独立後のクレジットカードはおすすめ4選
会社のホームページ
広告手段の1つとして会社のホームページが挙げられます。会社設立前に簡単なものでいいのでホームページを作っておきましょう。自分の会社がどんなことを行っていて、どんなビジョンがあるのか。それがわかりやすく書かれているものがいいです。ホームページがある会社と無い会社では信頼に雲泥の差があります。余裕があればSNSも作成しておくとより良いかと思われます。
挨拶状
挨拶状は既存の取引先や友人、顧客となってくれそうな人などに自身の会社設立を知らせるものです。手書きだと温かみのあるものになりますし、少し凝ったものを作成して印象に残すのも一つの方法です。設立直後に作成しても問題はありませんが予め作成しておくと余裕が持てます。
会社概要チラシ
この会社概要チラシも設立直後でも問題はありませんが自身の会社がどういったものかが固まっているのであれば作り始めた方が後々楽になります。印象的かつどんな会社なのか簡潔に伝わるようなチラシを作成しましょう。
営業資料
自身の会社はどんなものを、どんな値段で、他社とどう違いがあるのかを明確に伝わる資料を作成しましょう。この営業資料は自身がサービスを売り込む際にも使用しますし、後に他社との比較で使用されることもあります。営業資料の有無や出来栄えで購入率が変わります。チャンスを逃さない為にも早めに作成しましょう。
経営管理体制
上記の物は会社のPRをする上で必要なものでしたがこの経営管理体制は会社を経営する上で必要なものになります。いざ会社を設立しても社内がゴタゴタしていたら上手くはいきません。経営管理とは企業の活動を構成する各種業務が経営目的の実現に向けて最も効果的に達成できるように導く体系的な活動のことを指します。この体制を整えることでコストの削減や効率的な運営及び成果に繋がります。早くから考えておき実際に設立後に試していきながら会社にとって1番いい体制を作り上げていきましょう。
簡単に会社設立したいなら専門家に任せよう
1章や2章でご紹介した通り、形態によっては設立の手続きが比較的簡単です。しかしいくら簡単とは言っても知識があまりない方や、初めて会社設立するという方には難しく感じてしまうのではないでしょうか。そこで簡単に会社設立を可能にする4つの専門家をご紹介していきます。
関連記事:起業のカンタン設立手続き紹介!法人と個人事業主どっちがお得?
お金のことなら「税理士」
会社設立には税務関係の書類などを提出する必要がありますが、税務関係の知識はあまり無い方の方が多いかと思われます。そんな時は税理士に任せましょう。税理士は税務関係の書類の作成や提出を代行してくれます。難しい税務関係の書類を税理士に任せることでその他の業務に集中することが可能です。
また、会社設立に融資を検討しているのであればより税理士にお任せすることをおすすめします。CEOパートナーなら融資に強い税理士とマッチングしてくれます。融資に必要な書類も代行して作成してくれますし、なにより完全成功報酬型なので融資を受け取れるまで無料で相談に乗ってくれます。
会社設立したいけど資金調達ができていなくて行動に移せないという方にとてもおすすめできます。また、会社設立後は何かと税務関係の書類が増えていきます。早いうちに信頼できる税理士と知り合っておくことが成功の秘訣です。会社設立を検討している方は1度相談してみてください。
人事労務あたりのことなら「社労士」
社労士とは社会保険労務士のことで、労働関係法令や社会保険法令に基づく書類の作成やそれらの相談に乗ってくれます。会社設立する際に人を雇うことがあると思いますが、誰かを雇うには守らなければいけない法律がたくさんあります。それらをひと手に引き受けてくれるのがこの社会保険労務士です。
社労士は会社設立手続きの代行はできませんが、資金調達の為に助成金の申請を考えているのであれば就労規則の作成・運用から助成金の申請・受給までのサポートをしてくれるのでおすすめと言えます。
登記手続きの代行は「司法書士」
登記手続きの代行は司法書士にのみ認められているものなので手続きを簡易化させたいのであれば司法書士を頼りましょう。また、2章でご説明した通り定款の作成には知識が必要となります。どの形態でも必ず作成しなければなりませんし、株式会社なら公証人から認証を受ける必要があります。その手間を一気に解決してくれるのが司法書士です。
手続きに手間をかけずに設立したいのであれば司法書士に任せましょう。
業種によっては許認可手続きも一緒に「行政書士」
会社設立と言ってもたくさんの業種が存在します。中でも飲食業、建築業、運送業には許認可申請をして許可を得なければいけません。行政書士ならその許認可手続きを任せることができます。また、登記手続きは司法書士のみ認められていると前述しましたが、定款の作成と認証の代行は行政書士にも認められています。登記手続きは自身で行う必要がありますが、定款の作成を行政書士に任せることで自身の負担を軽減することが可能です。
許認可手続きが必要な業種での設立を検討しているのであれば行政書士をおすすめします。
まとめ
会社の形態や設立に必要なものをご紹介しましたがいかがだったでしょうか。会社設立の経験がある私としては成功の秘訣は、「資金に余裕があれば専門家に任せた方がいい」の一言に限ります。勿論1人でも設立は可能ですが時間や労力には限りがあります。絶対に成功させたいのであれば可能な限り専門家に頼りましょう。個人的には設立後に税務関係で税理士さんをとても頼らせて頂いていたので会社設立を検討しているのであれば税理士をおすすめします。
一見難しいと思われがちな会社設立も専門家に頼れば簡単に設立ができます。また、今すぐ本格的に動き出すのは無理でも準備しておけば今後楽になる物もあります。小さくても一歩踏み出すことで世界は大きく変わってきます。夢を叶える為にもまずは一歩踏み出してみましょう!
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