「マル経融資」を個人事業主・小規模事業者の皆さんはご存知でしょうか。
商工会・商工会議所からの指導を受けて日本政策金融公庫より融資が受けられる国の制度で、正式名称を「小規模事業者経営改善資金」と言います。
スモールビジネスの育成や経営改善のために資金調達を必要とする方は、無担保・無保証・低金利で最大2,000万円の高額借入が可能となるためぜひともチェックしたい制度となっています。
マル経融資について具体的な制度の内容をご紹介するとともに、利用にあたって個人事業主がクリアするべき4つの条件、さらに知っておきたいメリット・デメリットや審査落ちの理由について解説していきます。
審査通過のために頼りたいサービスも併せてご紹介しますので、少しでもマル経融資に興味を持っている方はぜひ最後まで内容を確認してみてくださいね。
マル経融資とは個人事業主向けの制度
マル経融資は「小規模事業者経営改善資金融資制度」が正式名称で、商工会・商工会議所の経営指導を受けている個人事業主などの小規模事業者が利用できる融資制度です。
商工会・商工会議所は小規模事業者が地域経済の活性化に貢献できるように事業運営のノウハウを教えてくれたり、資金調達の支援をしてくれたり、さまざまなサポートを行っていて事業者の重要な支援策となっています。
スモールビジネス育成と経営改善が目的
マル経融資の目的はスモールビジネスの育成と、経営改善です。
商工会・商工会議所の経営指導により、マーケティングや事業効率化の指導を通した経営の改善が目指せるとともに、経営改善の中で必要になる資金もマル経融資によってサポートしてくれるのです。
小規模事業者でも融資を受けやすい条件で資金調達を行えるように支援しており、経営の改善や安定を目指せます。
最大2,000万円を無担保・無保証で借入可能
融資を受ける際に担保と保証の有無は大きなポイントとなります。
スモールビジネスの場合は担保にできる大きな資産が無い場合や保証人を立てるのが困難な場合が多いですが、マル経融資の場合は最大2000万円を無保証・無担保で借入する事が出来ます。
従業員21人以下の小規模事業が対象
マル経融資は小規模事業を対象にしているとお伝えしましたが、その条件として従業員数が21人以下の事業でないとこの制度を利用できません。
また、宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業では従業員は5人以下であることが条件となっていますので注意してください。
宿泊業と娯楽業は業種としては「商業・サービス業」に含まれますが、事業の性質上従業員を多く持っている場合が多いので、21人以下であればマル経融資の対象となります。
運転資金・設備資金のみ使途とする
融資を受ける場合、どのような使途で資金を使うのかを審査の時点で伝える必要があります。
マル経融資の資金使途は運転資金と設備資金と決まっているのでそれ以外の使途に資金を使った場合、資金使途違反として会社の信用を失う可能性があります。
使途が限られていることを理解し、実際の使途や資金額を決めるようにしてください。
申込や融資実行に半年以上かかる
マル経融資に申し込むには、原則6か月以上商工会・商工会議所の経営指導を受ける必要があります。
指導を受けたら必ず融資を受けられるわけではなく、商工会・商工会議所から推薦してもらい、審査を通った後に日本政策金融公庫に申し込むことが出来ます。
多くのステップを踏まなければならいことに加え、推薦や審査を受ける際には1~2か月かかる場合もあり、今現在商工会・商工会議所で経営指導を受けていないのであれば融資を受けるまでに8カ月以上の期間を要する可能性があります。
審査会のタイミングや商工会議所の場所によって異なりますので、マル経融資を受けたい場合はまず商工会・商工会議所に相談してみることをおすすめします。
マル経融資を個人事業主が受ける4つの条件
マル経融資を個人事業主が受ける場合には4つの条件がありますので、一つずつ解説していきます。
商業・サービス業は従業員5人以下
前述の通り、宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業は、従業員数が5人以下でなければマル経融資の対象となりません。
具体的には、美容院、飲食店、小売店などがこの条件に該当します。
一方で、それ以外の事業においては、従業員数が21名以下であれば融資を受けることが可能です。
この場合、事業を運営する個人事業主も従業員数に含まれる点に留意してください。
確定申告や納税を必ず実施している
当然のことですが、法人か個人事業主かということは関係なく、確定申告や納税をしっかりと行っていることが条件になります。
マル経融資を申し込む際、前年と前々年の決算書および確定申告書が必要となるので普段から当然のように行っていなければ対応は難しいでしょう。
必要な税金を抜かりなく納めているかを見られますので、注意してください。
6ヶ月以上の経営指導を受けている
各自治体の商工会・商工会議所では、中小企業への経営指導を行っています。
マル経融資はこの経営改善のために行われる融資なので経営指導を受けていない場合は利用できません。
また、融資を受ける条件として6か月以上の指導期間が必要になります。
今まだ指導を受けていない方は融資までに時間がかかってしまいますが、これから経営指導を受け、後にマル経融資を検討している方は自身の自治体の商工会・商工会議所に問い合わせてみてください。
全国の商工会議所の場所は日本商工会議所のWebサイトよりご確認いただけます。
同一地区内で直近1年以上事業している
マル経融資は商工会・商工会議所からの推薦がないと融資を受けることが出来ません。
商工会議所は事業者の経営状況を調査したうえで審査を行うので直近1年以上は同じ商工会議所の地区内で事業を行っていることが条件となります。
商工会・商工会議所から融資を使って経営改善の余地があるという推薦をもらうためには長い期間をかけて自身の事業を理解してもらう必要があるということです。
マル経融資を個人事業主が活用するメリット・デメリット
マル経融資は個人事業主や中小企業が借入をしやすい制度となっていますが、商工会・商工会議所と日本政策金融公庫と2つの機関を通す必要があるので申し込みの手順が多く、デメリットもいくつかあります。
マル経融資を受ける際にはどんなメリットとデメリットがあるのかを3つずつご紹介します。
低金利で高額融資が受けられる
マル経融資は融資制度の中でも低金利でありながら高額の融資が受けられるのが大きなメリットと言えます。
金利は2024年10月の時点で1.35%です。
銀行融資や金融公庫では1~3%、オンライン融資サービスでは10%前後が一般的なのでマル経融資は比較的低金利です。
貸付限度額は2,000万円と、十分な金額を借入できるのは中小企業にはありがたいですね。
返済期間等は日本商工会議所のマル経融資のサイトから確認してください。
担保や保証人不要で借入しやすい
通常、融資を受ける際には保証人や信用保証協会からの保証が求められることが一般的ですが、マル経融資ではこれらが不要です。
商工会や商工会議所からの融資を受けるためには、事前に経営指導を受けることが前提となりますが、その理解のもとで申請を進めるため、無担保かつ保証人なしでの借入が可能となっています。
このため、利用者にとっては非常に借りやすい条件が整っているのです。
商工会・商工会議所のアドバイスがある
前項でも触れましたが、商工会・商工会議所は地域経済の活性化のために中小企業に向けた経営指導を行っています。
経営指導員は経営の課題改善や、事業運営に対する補助金等の情報提供もしてくれます。
自身の事業の現状に合わせたアドバイスもくれるので、経営者として専門家の助言が欲しい場合に有効に活用できます。
東京商工会議所のホームページより経営指導とはどのようなものか知ることが出来ますのでリンクから参考にしてください。
創業時の活用ができない
マル経融資は創業時の初期費用としての活用が出来ません。
マル経融資を受ける際の必要書類には前年と前々年分の決算書と確定申告書が必要になりますので、必然的にすでに事業を始めている事業者でないといけません。
開業融資を検討しているのであれば、日本政策金融公庫に開業時に特化した融資制度がいくつかありますので、参考にしてみてください。
審査を通す機関が多く時間がかかる
マル経融資は他の金融機関で受ける融資制度よりも、間に挟む機関が多いために審査の回数が多く、時間がかかります。
少しでもスムーズに審査を受けるためには書類や必要な情報を事前に準備しておくことです。
多くの重要な書類を準備する必要があるので融資の申請のために必要な準備は計画的に行ってください。
借り換えができない
マル経融資はビジネスの育成や改善を目的としているので、他の金融機関から受けている融資の返済として利用することはできません。
日本政策金融公庫や地方自治体の金融機関では借り換えができる融資制度がありますので、借り換えを検討している場合は他の制度を確認してください。
マル経融資で個人事業主が審査落ちする理由
マル経融資は商工会・商工会議所と日本政策金融公庫の2つの機関で審査が行われるのでそれぞれの観点で可否が決まります。
どのような理由で審査に落ちることが多いのか、以下にまとめましたので参考にしてください。
申込条件を満たしていない
ここまでの内容でわかる通り、マル経融資を受けるためには条件が多く、すべての条件を満たしていない場合は審査に通らないどころか融資を受ける対象外です。
好条件で十分な金額を借り入れできる融資制度だからこそ、誰でも借り入れが出来るわけではなく、すべての条件を満たした見込みある事業だけが受けられるようになっています。
自分自身の事業が条件に当てはまっているかをじっくりと確認してください。
事業計画書の内容が不十分
マル経融資に関わらず、融資を受ける際には事業計画書の内容がとても重要になります。
事業計画は自身の事業のビジョンや計画をすべて可視化した書類になるので、事業計画書を見ればその事業がどんなことをしているか、どんな資金繰りで経営しているか、リスクまで想定した綿密な計画が作れているかなどがすぐにわかります。
どの部分を突かれても自信をもって回答出来るように、熱意をもって事業計画書の作成に臨むことで内容に積極性や信頼性が伝わる書類になるはずです。
資金使途が不明
マル経融資は使途が決まっているとお伝えしましたが、実際に審査では何にどのくらいの資金を使う必要があるのかを厳密に確認されます。
大きな資金を借り入れできるとはいえ、資金の使途は慎重に検討してください。
使途が不透明な場合には審査が通らない可能性が高まります。
既に複数社から借入がある
審査を受ける際に既に複数社からの借り入れがあるというのは審査落ちの原因になり得ます。
借入があること自体が悪いことではないのですが、複数社からの借り入れがあるということは複数社に返済をする必要があるということなので返済能力の低さが疑われてしまうのです。
しかし、虚偽の申請をしても信用情報機関で確認できてしまうので事実のみを記載してください。
信用情報に傷がついている
融資を受ける場合に審査に大きく響くのは自分自身の信用情報です。
事業自体の経歴ではなく、経営者自身の過去の信用情報に傷がついていた場合には審査に落ちてしまう可能性が高まります。
自己破産や多重債務などの大きなものから、クレジットカードやローンの滞納なども影響します。
信用情報は融資の担当者も確認出来るものであり、自分自身でも確認することが可能です。
不安な場合はCICやJICCなどの信用情報機関より確認をしてください。
マル経融資の審査通過ならCEOパートナー
前項でもお伝えしましたが、マル経融資を利用する際には、商工会議所の推薦を受けるための審査と、推薦をもらったうえで日本政策金融公庫から融資を受けるための審査と、二度の審査を受ける必要があります。
審査を受ける際に書類の不備があったり、融資を受けるための資金計画が適切でなかったりする場合、審査に落ちる可能性は大いにあります。
審査通過を確実にしたい場合、頼りにできるのが専門家の税理士です。
CEOパートナーは自分自身の業種や必要なサポートの条件に合った税理士とのマッチングをしてくれるので、審査通過の近道になること間違いありません。
実際に税理士まで依頼する大きなメリットをご紹介していきましょう。
税理士目線から的確な融資申請サポート
CEOパートナーで紹介する税理士は、実際に融資審査のノウハウを知っており、100名中99名が通過する実績があります。
マル経融資は過去の決算書や確定申告書の提出が申請書類の条件となっており、これらも税務のプロが確認してくれるので安心して任せることが出来ます。
創業融資をはじめとした資金調達サポート数は全国1位を獲得しており、多くの経営者が利用しています。
審査通過の実績がある税理士から融資申請の的確なサポートを受けて審査に望めるので安心です。
顧問税理士として経営相談も可能
税理士を雇うことで審査通過のサポートを受けるだけでなく、その後の経営の相談も出来ます。
特に税金のことや補助金の申請などといった、自分自身で管理するには大変な経理の部分は専門家としてサポートしてもらえると助かりますよね。
資金調達が無事に出来ても経営の資金繰りや思いもよらぬトラブルが起こる可能性がありますが、そんな時には顧問税理士として一緒に解決してくれるので事業成功の強い味方となるでしょう。
まとめ
マル経融資は他の融資制度と異なり、商工会や商工会議所の経営指導や支援の下で融資を受けられる、特別な制度です。
そのため資金調達だけでなく、経営改善や事業の成長を促進するための貴重な機会となります。
一人で事業を運営するのは難しいことも多いですが、支援機関や融資制度をうまく活用することで、より強固な経営基盤を築くことが可能です。
まずは商工会や商工会議所に相談し、必要なステップを進めることから始めてみてください。
この記事があなたの事業成功への一助となることを願っています。
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